「お前執拗いから一週間だけな」 「やった！」 寒沢先輩に執拗く言い寄って、なんとかお試しで付き合うことが出来た。 とはいっても特にすることは無い。いつも通り生徒会室にお邪魔して、寒沢先輩の隣に座りお仕事の手伝いをしたり話をしたりするだけ。 「こんなの付き合ってない！」 「あっそ。」 また中庭でサボっていた先輩に詰め寄ると、興味無さげに返事をされて悲しい。 俺がふざけてるって思われてるのかな。結構本気やのに。 「手繋いでいい？」 「勝手にすれば」 一応許可を貰って手を繋ぐと思っていたより冷たくてビックリした。 「何でこんなに冷たいの？」 「知らない。で、付き合ってないって言うなら、どういう風にしたらいいのか教えてくれよ。俺こんなんだけど今まで付き合ったことないし。でもあれだぞ。お前が言うから今はちゃんと遊びはやめてるぞ。」 「嘘やん！」 「本当だよ。とりあえず一週間は禁欲生活」 「……俺使えば？」 「バカかお前は。そんな簡単に自分を差し出すな。」 ペンっと肩を叩かれて怒られる。 簡単じゃないのに。好きだから言ってるのに。 「俺じゃダメ？」 「ダメも何も……」 「だって俺、ほんまに好き。簡単に言うてるわけじゃないよ」 「俺の何が好きなんだよ。何も無いだろ。俺なんて空っぽの人間だ。」 空っぽの人間って言うことは、俺が入るスペースがあるってことではないだろうか。 「だからいい！」 「……変な奴」 「ねえねえ恋人っぽくしていい？引っ付いていい？」 「……いいけど」 返事をもらって先輩の腕に腕を絡め、ぎゅっとくっつく。剥がされないのが嬉しい。 先輩を見上げるとさっきと変わらずぼんやりしていて、この人はいつも何を考えてるんやろうと不思議に思う。