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お試し期間

翌日、泣き腫らした顔のまま登校した。 放課後は生徒会室に行って、先輩に話をしないといけない。 「宮間、顔、どうしたそれ。」 「いや、昨日ドラマ観て感動して」 「……涙脆いのな」 クラスメイトは俺の家が金を持ってるのを知ってるからか、特に差別をしない。 今も冷やした方がいいと言って、持っていたハンカチをわざわざ濡らして貸してくれた。 「え、ごめん。あ、代わりに俺のハンカチ使う?」 「いいよいいよ。それより課題見せて欲しい」 「あ……忘れてた。やってない!今からやる!」 慌てて課題のプリントとシャーペンを取り出して頭を悩ませる。 二十分程で終わったそれを、クラスメイトに渡して、俺は目を冷やす作業を再開させた。 「宮間、これなんでこうなるの?」 「そういうルール」 適当に返事をして、少しするとホームルームが始まる。 胸がモヤモヤする。 この気持ちは放課後、先輩に会ってお話をするまで消えないんやろうな。 そうして授業は進み、昼休みになって学食を食べ、また午後の授業を受けた。 いつの間にか放課後になって、机に顔を伏せる。 話に行かないと。 よし、と体を起こしてバッグを持つ。 生徒会室に続く廊下を歩いて、目の前に見えたドア。意を決してそのドアを引く。 「お疲れさまです」 「お疲れさま!」 部屋には寒沢先輩以外のメンバーがいて、ほっとしながらソファーに座る。 「あの、寒沢先輩は?」 いつもここに居るイメージは少ないけど、この時間ならまだ外に出てサボっていないはずなのに。 聞くと、全員少し困った顔をしてから、千紘先輩が「今日は用事があるって」と言って誤魔化してきた。 「用事って?」 「気にしなくていい。あ、宮間。寒沢の代わりにこれ手伝ってくれないか?」 「はい」 赤目先輩から資料を預かる。 今日は会えないのか。少しショックなような、安心したような、なんとも言えない気持ちが胸に広がる。

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