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お試し期間

生徒会室に戻ると井上先輩も居た。 帰った筈の俺と、用事があって生徒会に参加しなかった寒沢先輩が来たから驚いている。 「どうしたの?」 千紘先輩が首を傾げた。 この人、本当に可愛い顔をしてるからそんな風に誰かれ構わず首を傾げるのはやめた方がいいと思う。偉成君に怒られるよ。 「生徒会長だけど、宮間がなるから。」 「はぁ!?」 唐突な報告に、俺は思わず寒沢先輩に詰め寄った。 「な、何、何考えてるん!?アホなん!?俺無理やって言うたやん!」 「それはオメガだからっていう理由だろ。お前自身はやりたいんだろうが。」 「そ、う、やけど……でも……」 「じゃあやれ。てことで、いいだろ赤目。」 赤目先輩はじっと寒沢先輩を見る。 「……思っていた通りにいったのか?」 「ああ。だから言ってる。」 『思っていた通り』って何のこと。 二人は話を進めて、そこに入っていったあとの二人の先輩も、結局俺が生徒会長になるということで頷いている。 「待って!待って待って!おかしい!そんなん、俺なんかが生徒会長なんか変やんか!」 「何も変じゃないだろ」 全員真顔で俺を見る。 それが怖い。なんで?なんでおかしいって思わへんの? 「オメガ!俺はオメガ!」 「知ってる。」 「そんな俺に誰がついてくんの!?」 「……さっき生徒に聞いてきた。」 「何を!!」 勢い余って寒沢先輩の胸倉を掴む。 先輩はケロッとした顔で俺を見下ろす。 「宮間が生徒会長じゃ信用ないかって」 「……何聞いてんのあんた。俺を知ってる奴なんてそもそもそんなにおらんやろ。」 「オメガもアルファも大体はお前のことを知ってる。ここに通ってるオメガは少ないし、そのオメガを狙ってるアルファもいるからな。それに番持ちのアルファはオメガだからといって差別しない。それは自分の番を差別するのと同じ事だから。」 「……」 「お前のクラスメイトは、お前が生徒会長になるんじゃないのかって聞いてきたぞ。普段から生徒会室に出入りしてるから、ほぼ確定してると思ってたんだろうな。」 意味がわからへん。 胸倉を掴んでいた手を大きな手に包まれる。 「反対意見は少なかった。だから別にオメガのお前が生徒会長になっても、何もおかしくない。」 「……なんで」 「何が」 また涙が溢れて視界がぼやける。

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