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お試し期間
「こんなに真剣になってるのも、お前が好きだからだろうなって。」
「……すぐ飽きるんちゃうん」
「好きに飽きるとかあるのか?」
「知らん」
今もしかして、告白されてるん。
こんなときめかん告白ってあるん。
「お前も俺が好きだって言った。なら付き合え」
「……」
「おい、返事しろよ。」
「じゃあ……じゃあこれから、好きな時に手繋いでキスして、一緒に帰ったり学校行ったり、そんなんしていいの?」
「いいよ」
離された手を掴む。
ぐっと体を近づけて背伸びをし、顔を寄せた。
「キスして」
「俺からかよ」
「早く」
目を閉じると、唇に先輩のそれが重なる。
満足して離れようとすると腰を抱かれ、唇を舐められた。
「っ、まっ……んっ!」
待って、と言おうと口を開けるとそこから舌が入ってくる。
熱い舌が口内を蹂躙して、唇が離れる頃には腰が抜けて先輩にもたれかかった。
「ん、ふ……」
「腰抜けたのか?」
「ぅ、ん……ぁ、だってそんな、こんなんするなんて聞いてない……」
「子供だな」
そっと抱っこされてそのままオメガの寮まで送られる。
力持ちや。ちょっとキュンってした。
「あ、俺ちゃんと返事してへんけど、俺も先輩のこと好きやから、お付き合いしてください。」
「うん。じゃあ近いうちに引っ越しな。お前は俺の部屋に来い」
「……展開はや」
「発情期が起こってからじゃ遅いからな。」
そして次の土曜日に先輩の部屋に引越しすることが決まり、あれよあれよという間に俺の生活が一変して、そして次の発情期で俺は寒沢先輩と番になるのだった。
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