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好奇心

*** あのデートから暫くして、パーティー当日。 髪を整え彰仁君の買ってくれた服を着て、緊張して部屋で一人固まっていると、同じく身なりを整えた彰仁君が「お待たせしました」と言って部屋に戻ってきた。 「準備が出来たので行きましょうか。」 「……彰仁君」 「はい」 「すごく格好いいね。いつもそうだけど、初めてそんな服装をしてる君を見てなんか……ドキドキするよ。」 「……キスしていいですか」 返事をする前にキスをされた。 そのまますりすりと首元に擦り寄ってくる。 「行くんでしょ?」 「うん」 「じゃあほら、ちゃんとして」 「……優一さんが可愛らしいこと言うからいけないんですよ。」 ムスッとする彰仁君の手を取り、部屋を出る。 玄関の前にはもう車が来ていて、後部席に乗り込んだ。運転手さん付きの車に乗るのは初めてだ。 「同級生の人は来るって?」 「はい。子供も連れて来るみたいです」 「えっ、本当?楽しみだなぁ」 暫く話をしていると目的地のホテルに着いて、緊張しながら彰仁君と手を繋いで会場に入る。 「あ!東條先輩だ!」 早速美人な男の子が彰仁君を見て手を振ってきた。 あんな美人な人が知り合いだなんて……。俺が彰仁君の番でいいのだろうかと不安になる。 彰仁君は迷うこと無く彼に近付いた。 「久しぶりだな。」 「はい。お久しぶりです。」 「赤目は?」 「偉成ならあそこ。」 男の子は会場の隅っこを指さした。 目で追いかけた彰仁君の手を紹介して!と思いながらくっと引く。 「あ、すみません。松舞、俺の番の優一さんだ。優一さん、彼は高校の後輩の赤目千紘。」 「初めまして。赤目千紘です。えっと……多分、もう少ししたらうちの……あ、偉成!」 さっき彼が指を指した男性がこっちにやって来る。わあ、なんて整った顔なんだ。圧倒される。 ていうか今、千紘君『うちの』って言った。 「赤目、久しぶりだな。」 「久しぶり。その方は?」 彰仁君が千紘君にした紹介と同じ言葉で紹介してくれる。 「優一さんか。初めまして、赤目偉成です。」 「は、初めまして。あの……お二人は夫夫なんですか?」 千紘君はキョトンとして、それから笑顔で頷いた。 「はい。夫夫です。」 千紘君の腕が偉成さんの腕に絡まる。 二人は顔を見合わせて柔らかく微笑んだ。

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