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好奇心
いつの間にか旭陽さんの傍には千紘君に……千紘君と同じくらい小柄な子が二人いた。
そして彰仁君の周りには赤目さんに高良さん、それから知らない人がもう二人。よく見れば一人は赤目さんそっくりな男性だ。
「あ、優一さん。こっちは俺と同級生の優生君です。偉成の弟の匡と番なんです。それで、こっちは泰介君。えっとー……あ、高良先輩に肩組まれてる人の番です。あの人は高梨先輩」
あの赤目さんにそっくりな人は赤目さんの弟だったのか。それが目の前にいる優生君の番。
「皆同じ高校なの?」
「はい。旭陽先輩が一番上で、偉成と高良先輩と高梨先輩が同い年。俺と優生君と匡が同じで、泰介君が一番下です。」
紹介をされて頭に全部叩き込んだ。
夕陽ちゃんは「ママー!」と言って旭陽さんに抱っこされに行った。
「じゃあ仲良しなんだね。」
「そうですね。皆仲良しかも。」
話をしていると彰仁君に呼ばれ、アルファ達の中にポイッと一人だけオメガが入り込む。
そこでまた紹介をされて、頭を下げた。
ちょっと、やっぱりアルファの中に入るのは怖いな。
彰仁君の手をきゅっと握る。
「大丈夫ですよ」
「……うん、ごめんね、わかってるんだけど……。」
皆さんに聞こえないように小さな声で言うと、彰仁君にも強く手を繋いでくれた。
くいっと手を引かれ、会場の隅にあるバーカウンターの方に歩いていく。
「あっちにもお酒ありますよ。行きましょう?」
「え、話は?皆さんとしなくていいの?」
「いつでもできるんで。優一さんの緊張が解けるまで二人でいましょう。何も言わず俺達の中に連れてきてすみませんでした。」
「いやいや!そんな!謝らないで!」
でもお酒を飲めるのは嬉しい。
彰仁君に連れられるまま、目的地についてお酒を注文した。
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