838 / 876
だってあんたは 宮間side
一緒に暮らし始めてはや一週間。
毎朝幸鷹が仕事に行く前に、ついでと言って学校まで車で送ってくれている。
「今日も終わったら連絡しろ。」
「毎日悪いから、迎えにこやんでいいよ。行きも、送ってくれるのはありがたいけど、申し訳ないし……。」
「お前が嫌じゃないならする。ほら、さっさと降りねえと遅刻するぞ。」
車から降りて、手を振る。
早々に発進した車が見えなくなるまでそうして、校門を潜り校舎に向かう。
その間に泰介と会って、他愛もない話をする。
「寒沢先輩の誕生日はいつなの?」
誕生日の話になって、泰介にそう聞かれたけれど、答えられなかった。
俺、あの人の誕生日を知らない。
直接聞いて、それがもし近い日ならサプライズも出来ないと思って、慌てて偉成君に聞くと、まさかの三日後だった。
ショックで俯く俺の背中を泰介が優しく撫でてくれる。
「でもほら、三日あるんでしょ?三日もあればなんとかなるよ!」
「……ほんま?」
「う、うん、本当!」
「でも……買い物行くタイミングもなくて……」
学校が終われば幸鷹は迎えに来るから放課後は厳しいし……。
「あ、じゃあ俺と遊びに行くって伝えたらいいよ!」
「えぇ……?」
「嘘じゃなくて、本当について行く!帰りは……あ、誉君に迎えに来てもらって……め、迷惑かな……」
「二人に迷惑掛けたくないからやめとく。今は……あ、ほら、ネットがあるし……!」
泰介は頷いてくれて、それから別れてそれぞれ教室に入る。
恋人に送る誕生日プレゼント、とスマートフォンを使ってネットで検索をかける。
幸鷹が喜びそうな物を探すけど、ほんまは自分の目で見て確認したい……。
うう……と悩みながら、いくつかに目星をつけてホームルームが始まるチャイムが鳴り、スマートフォンをポッケに入れた。
書籍の購入
ともだちにシェアしよう!