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だってあんたは
いくつかは絞れたけど、ほんまにこれでいいのかはわからない。
生徒会室で、もう少しで開催される体育祭のことを話し、それが終わったところで幸鷹に連絡をした。
幸鷹はお金持ちやし、今更何をあげたら喜んでくれるんやろう。
みんなが帰って一人になった生徒会室で何度目かの溜息を吐き、バッグを持って生徒会室を出て鍵を閉めた。
校門に行くと既に見慣れた車があって、慌てて近づきドアを開ける。
「ごめん、待たせた……?」
「大丈夫」
助手席に座り、シートベルトをつけると車は動いて、チラッと隣の端正な顔を盗み見た。
「幸鷹」
「何」
つい名前を呼ぶと、幸鷹もちらっと俺を見てすぐに返事をしてくれる。
ふとプレゼントのことを思い出して、それとなく聞いてみることにした。
「幸鷹の好きな物って何?」
「あー……お前?」
「そ、そういうんとちゃうくて……」
そういう言葉には慣れてなくて、オロオロする俺を幸鷹はくすくす笑う。
「何でそんなこと急に聞くんだ?」
「あんたの好きな事、なんも知らんなって思って。」
「まあ、聞かれねえ限り言わねえもんな。お前は?何が好きなの?」
「幸鷹」
「そういうのじゃない」
仕返ししたらジト目を向けられた。
「じゃあ……んー……何やろ。食べ物やったら天津飯」
「へえ。他は」
「基本的に綺麗なものが好きやから、あ、夜景とかも好きやで。あとはなぁ……お花とか?」
って、違う違う!
俺が聞き出されてどうするねん!
「幸鷹も綺麗なん好き?」
「まあ汚い物より好きだわな」
「ちょっと!ちゃんと返事してよ!」
適当なことばっかり言うから、すっごい困る。
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