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高良家の休日 旭陽side

目の前の光景を見て吹き出しそうになった。 土曜日。悠介と夕陽が午前中にどこかへ買い物に出かけて帰ってきた。 どうやら夕陽のおもちゃを買ったらしい。 二人が楽しそうにしていたから、「よかったね」と夕陽に言うと大きく頷いた。 ぷくぷくの頬っぺたがマシュマロみたいで美味しそう。 「夕陽の頬っぺ、食べていい?」 「えー! チューならいいよ!」 「ほんま? ちゅーさせて」 夕陽を抱きしめて頬っぺにキスをする。 なんて可愛いんや。うちの子は何でこんなに天使なんや。 感動していると、急に頬にキスをしてきたのは悠介。 「俺も旭陽とキスしたい!」 「夕陽の前で名前で呼ぶな」 「ママとキスしたい」 お互いずっと名前で呼んでいたから、『ママ』と悠介に呼ばれる違和感にはまだ慣れない。 「嫌や」 「え、それは本当に何で。」 「夕陽とするからあかん」 「パパ、あかん。」 いつの間にか夕陽は俺の関西弁を真似するようになった。 本人がしたいようにすればいいと思ってるから、俺は何も言わずにただ可愛いなと思っているけど、どうやら悠介も同じらしい。 「あ、またママの関西弁伝染ってるねぇ」 「パパはママにちゅーしたらあかん!」 「えー、あかんの?」 「うん!」 ニコニコ笑顔の夕陽に悠介はデレデレ。 お昼ご飯を食べて、部屋の掃除をした後、少し疲れたからリビングで昼寝をすることにした。 悠介は夕陽と遊んでくれるらしくて、そういえばおもちゃ買ってたもんなぁと思いながら、すぐに夢の中に落ちた。 *** ふと目が覚めて時計を見ると、三十分くらい眠っていたらしい。 ググッと伸びをして眠っていたソファーから起き上がり、二人の遊んでいる部屋に行きドアを開けた。 「っ!」 思わず笑いそうになって、慌てて手を口に当てる。 「パパ、まだだめ! 動かないで!」 「んー……ぺたぺたする」 「だぁめ! お目目開けないで!」 「はーい」 夕陽は手に持ったリップを悠介の唇に乗せていく。 ほんのりと色がついて、悠介の唇がツヤツヤしている。 「パパの髪の毛、サラサラしてるねぇ」 「夕陽もサラサラで綺麗だよ」 「ママが洗ってくれるんだよ」 「いいな、パパも今日洗ってもらおうかな。」 「夕陽が洗ってあげる!」 そんな会話をしてる二人を、部屋の入口に座って眺める。 悠介の顔は青やらピンクやら、いろんな色が乗っていて面白い。それに髪はふたつ結びにされている。夕陽はどうやら満足したようで、胸を張って堂々としていた。 「パパ! お目目開けて!」 夕陽に言われ、悠介が目を開ける。 「パパ可愛くなった?」 「可愛い! 夕陽のパパは恰好いいし、可愛い!」 そこまで見ていて、堪らず吹き出した。 二人は漸く俺がおることに気がついたらしい。 夕陽が「ママ!」と言って俺のところに来ると、手を引かれ悠介の前まで連れて来られた。 間近で見る悠介の化粧を施された顔にケラケラと笑ってしまう。 「ママ、笑い過ぎですよ。」 「ぶふっ!」 少し不貞腐れたように言う悠介。でもごめん、やっぱり面白い。 「ママにもする!」 「……え?」 思い切り笑っていたのに、急に時間が止まる。 夕陽は相変わらず笑顔で化粧道具を持ってジリジリと俺に近づいてきた。

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