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倦怠期 悠介side
最近忙しくて旭陽と触れ合えていない。
時間が出来たと思えば、旭陽は俺が触るのを拒否する。
正直拒否される意味が全く分からないけれど、嫌がる旭陽を抱く趣味は無いので、夜中に一人で自身を慰めている。
と、そんな話を東條に伝えると「倦怠期って言うやつじゃないか」と言われて、思わず口をあんぐりと開けた。
「けんたい、き」
「ああ。同じことの繰り返しで飽きたんだろ。オメガがアルファの誘いを拒否するなんてそれくらいじゃないか。しかもお前達は番なわけだし」
「……ま、待って、それ本気で言ってる?俺と旭陽が倦怠期?」
「そうだ。……帰っていいか?」
「打開策を見つけるまでだめ」
物凄く嫌そうな顔をした東條は、眉間に皺を寄せてスマートフォンを取りだした。
「何で俺がお前のためにこんなことを検索しなきゃいけないのかがわからない」
「何検索してくれてるの?」
「倦怠期、打開方法」
「ふふっ」
笑いを零すと、東條に睨まれた。
大人しくしておこう。
「これは今日からできるんじゃないか」
「どれ?」
画面を覗き込めば『ポリネシアンセックス』と書かれてあった。
内容は俺にとっては地獄。
「……四日目までキス、抱擁、愛撫。しかも局部に触るのは無し……?」
「おい声に出すな。」
「五日目は漸く局部に触れると。一時間愛撫してその後ようやく挿入、挿入後三十分は動かない……。焦れったくて俺も旭陽も死ぬんじゃない?」
「できるだろ」
「東條は番がいないから分からないんだって……」
スマートフォンの電源を切ったり、他の邪魔が入らないようするのはもちろん出来る。というかいつも行為が始まったら旭陽にしか目がいかないし。
「我慢できるかなぁ……。それに旭陽がノってくれるかどうかも謎」
「頼めばいいだろ。」
「……頼んでみるけどぉ」
ちょっと楽しみだから、頼んではみるつもり。
よし。頑張ろう。
頬を一回叩かれるかもしれない覚悟はしておこう。
「帰る」
「うん。ありがとう」
「……頑張れ」
東條が呟くように言って帰っていった。
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