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倦怠期

「ポリネシアンセックスをさせてください。」 「……何それ」 寮に帰ってすぐ、旭陽の前に土下座してお願いする。 旭陽はポカンとしながら、けれどセックスという単語で察したらしく、眉間に皺を寄せている。 「俺達ね、多分倦怠期だと思うんだ。」 「へえ」 「だからその解決策としてポリネシアンセックスをしたい。」 「具体的には何すんの?」 インターネットに書かれてあった内容を旭陽に伝えると、意外と反応が良かった。 「面白そう。いいよ」 予想外の反応すぎてキョトンとしてしまう。 「それまでは何の準備しなくてもええの?あ、調べた方が早いか。とりあえずご飯の用意終わらすから、お風呂洗ってきてよ。」 「あ、はい。」 「何か用意しなあかんのやったら、お風呂洗うよりそっちしてくれたらええけど。」 「特に用意するものは無いと思う……」 「ふーん」 キッチンに入っていった旭陽を見送り、俺は体勢を崩して風呂場に行き浴槽を洗った。 旭陽がこんな案を飲んでくれるとは思っていなかった。 逆に何かがあるのでは無いかと疑ってしまうくらいに。 「ゆーすけー!ご飯できた!」 「はーい」 早々に掃除を終えて、お湯を沸かすボタンを押しリビングに行く。 美味しそうなハンバーグを勢いよく食べて、それぞれ風呂に入り寝る準備ができると一緒に服を脱いでベッドに入った。 「ほんで、キスとハグと、愛撫……やっけ?」 「うん。でも五日目まで局部へのタッチはなし。」 「うん。まあ、キス好きやからええよ。早くして」 「もう。もうちょっとムードがあっても良くない?」 潔すぎる旭陽に苦笑を零しながら、唇を重ねる。 啄むだけのキスをしていると、旭陽の手が背中に回って唇が舐められる。 「緊張してんの?いつもみたいにしたらええやん。もっと気楽にしないと楽しいもんも楽しめんよ。」 「……スイッチが入ってポリネシアンセックスとか言ってられないかもしれない」 「それはルールやからあかん。悠介がやりたいって言うたんやから」 「……はい」 旭陽の手が俺の方を滑り、頬を撫でる。 「これ、ちょっと楽しいかも。」 「そう?」 「うん。いつもは余裕ないから、こうやってちゃんと話せへんし。なあ、もっと体くっつけて」 「積極的だね」 頬に唇で触れ、耳を撫でる。 擽ったそうに笑う旭陽が可愛くてたまらない。

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