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倦怠期 R18
まだ中に悠介のが入ったまま、三十分は経ったと思う。
その間永遠と「好き」とか「可愛い」とか、甘い言葉を言われ抱き締められていた。
自分自身も甘くなって、「俺も」とか「かっこいい」を言いまくった気がする。
「抜くね」
「ん……」
それが抜けると、寂しい気持ちになってより強く抱きついた。
「大丈夫?」
「背中撫でて」
「こう?」
「もっと気持ち込めて」
「込めてるよ。ほら、大好き。愛してる。」
「ぅ……」
心が満たされていく。
久しぶりにこんなに長く繋がっていたからか、泣きそうになるくらい幸せを感じてる。
決して倦怠期ではなかったけど。
「旭陽。……あれ、旭陽、寝る?」
「……眠たくなってきた」
激しい運動をしたわけやし、眠たくなるのも仕方が無いと思う。
目を閉じると頭を抱えるようにして、壊れ物を扱うかのように抱き締められる。
大好きな体温に包まれて、ふっと眠りに落ちた。
***
そして、数年経ったある日。
夕陽が産まれて落ち着いてきた頃、夜に真面目な話があると言ってリビングのテーブルに向かい合って座った。
じっと俺を見る悠介に、何か悪いことを言われるんじゃないかと思って緊張する。
「最近、倦怠期だと思う。」
「……」
一瞬、すごく腹が立って殴ってやろうかと思った。
でも俺は大人。……俺は、大人。
やから行動に移す前に考える。
「……高校生の頃もそうやって言うてたな。」
「うん。あの時は新しいことして解消されたし、楽しかったね。旭陽がすごく敏感になって、可愛くて可愛くて……。」
「で、倦怠期やからまたやろうって?」
笑顔で問いかけると、悠介は何を勘違いしているのか笑顔で頷く。
「悠介、倦怠期ってどういう意味がもう一回考えて貰っていい?」
「えっ、どうしてそんな寂しいことしないといけないの。俺たちもうかれこれ一ヶ月は触れ合ってないよ……」
いや、いやいや、ちょっと待て。
今度こそイライラが表に出そう。
「普段から『好き』とか『愛してる』とか、キスをしてたり、ハグしてたり、そんな俺達が倦怠期に当てはまる?ていうか何、かれこれ一ヶ月って……夕陽が産まれてそんなに経ってないんですけど。」
「……」
「倦怠期やと思うって……もしかして俺と喧嘩したくて言うたんかな。」
「違うよ!」
「いや、そうやろ。ふざけんなよ」
「ごめん!ごめん旭陽!」
謝ってくる悠介に溜息を吐く。
「俺とエッチしたいんやったらさ、もっと上手く誘ってくれん?……例えば、このままベッド連れて行ってくれる……とか。」
「旭陽、抱っこさせて。今日はこのまま一緒にベッドに行こう?」
単純馬鹿で、でも俺のことが大好きで、やから嫌われたくなくて回りくどいことをする悠介は昔から変わらない。
「いいよ」
それに付き合う俺も、変わってないみたいやけど。
倦怠期 了
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