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第3話(フレイン視点)

 天から女性の声が降り注いできた。ヴァルキリーの一人だろうか。  ま、なんでもいいや……と思いつつ、フレインは弟を横に抱き上げた。  アナウンスが終わった途端、数名の男たちがすっ飛んで来た。彼らはアクセルの死体を引き取ろうとしてきたが、フレインはやんわりと断った。 「いいよ、私が館まで運んでおくから」 「しかし、上位ランカーにそのような雑用をさせるわけには」 「私がいいと言ってるんだ。何か問題ある?」 「い、いえ……」 「それよりキミたちは私の武器を回収しておいてくれるかな。あと、この子のもね」 「は。承知しました」  男たちが目の前を去るのを見ることもなく、フレインはスタスタと「オーディンの館」に向かった。  教会のような白い建物の中には、無数の棺が並んでいる。蓋が閉じられている物もあれば、開きっぱなしの物もあった。  ――今日は結構混んでるなぁ……。  閉じられている棺の中では蘇生が行われている。死体の損壊度によって蘇生時間はまちまちだが(例えば、外傷がほとんどなく死んだ場合と、首や四肢を飛ばされて死んだ場合とでは、外傷がほとんどない場合の方が蘇生が早い)、これだけ使用中の棺が多いということは、今日の戦闘は激しいものが多かったということだ。  まあ、自分も人の事は言えないけれど。 「え、フレイン様? 何故あなたがここに……?」  アクセルを空いている棺に入れようとしたら、館の日直らしき男が声をかけてきた。この男も下位ランカーだろうか……あまり見覚えがない。  もっともフレインは、余程の上位ランカーでない限り、ほとんど顔と名前を覚えていないのだが。 「上位ランカーにそのような雑用をさせるとは……。今日の死体回収班は何をしていたのですか」 「私が断ったんだよ。自分で運ぶからって」 「そうなのですか? しかし……」 「ほら、向こうに行ってなさい。この子が休めないって」 「し、失礼しました……」  叱られた男は、そそくさとその場を離れ、他の棺の見回りに行った。

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