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第20話

「ア・ク・セ・ル!」 「おわっ!」  いきなり後ろから抱きつかれ、何事かと思って振り返る。兄だったら嬉しかったのだが、残念ながらそうではなかった。 「……チェイニーか。何だ、いきなり」 「ちょっと~! そんなあからさまにガッカリした顔しないでよ。傷つくじゃん」 「いや、別にガッカリはしてないが。それで、何の用だ?」 「用ってほどのことはないけどさ。とりあえず四十八位おめでとう! これで狩りにも同行できるようになるね!」  アクセルはもう一度掲示板を見上げた。ランキング表には間違いなく「四十八位 アクセル」と書かれていた。  ――本当に五〇位以内に入ったんだ……。  兄・フレインと死合いを行ってから一ヶ月。そこからまた脇目もふらず鍛錬を続けた。  早く兄に追いつきたい一心で、毎日訓練場に入り浸り、時には実践さながらの戦闘を行い、格上との「死合い」にも欠かさず出場した。傍目からすれば無茶な修行だったかもしれないが、どうせ後で復活できるのだからと思えば、命がけの死合いでも怖くはなかった。 「それより見てよ、今週の死合い! オレ、ジーク様と死合いあるんだけど! 絶対勝てるわけないー!」 「それは相手が悪かったな。でもせっかくの機会だし、胸を借りてきたらどうだ?」 「えー……どうしよ。わざわざ殺されにスタジアムに行くのも気が引けるんだけどなー」 「そんなこと言ってたら、いつまで経ってもランキング上がらないぞ」 「オレは真ん中くらいでちょうどいいの!」  同期のチェイニーは、現在2500位代を彷徨っている。高くもなく低くもない、本当に真ん中くらいのランクだ。  本気を出せばもっと上を狙えるのにもったいない……とアクセルなどは思うのだが、チェイニーにとってはその真ん中の地位が一番気楽で過ごしやすいそうだ。

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