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第21話

「そういやアクセル、早速狩りのチームに組み込まれてたよ。残念ながら、隊長はフレイン様じゃなかったけどね」 「そう、なのか……」 「はい、そんな残念がらない! 五〇位以内をキープしてればまたチャンスはあるって」  ランキング五〇位以内の戦士は、ヴァルハラの郊外に出て狩りをすることができる。  宴でよく出る「イノシシのシチュー」や「ヤギの蜜酒」の材料を調達するのはもちろん、上位ランカーの遊興としても狩りは行われているのだ。  そして狩りに出掛ける時はトップセブンの誰かが隊長となり、五、六人の戦士を連れ歩くことになっていた。  ただ今回は、アクセルが願っていた編成ではなかったみたいだが。  ――まあ、いきなり兄上と一緒だったらさすがに幸運すぎるか……。  残念だが仕方がない。チェイニーの言う通り、またチャンスはある。  気を取り直して、アクセルは改めて掲示板を見直した。狩りのチームに組み込まれているのは他四人の戦士、隊長はランキング二位のランゴバルトという男だった。 「ランゴバルト様……だと?」 「うん、そう。あのランゴバルト様」  と、チェイニーがしたり顔で頷く。 「狩りに行けるのは光栄だけど、あまり頑張りすぎない方がいいかもね? 適当にお供するくらいでちょうどいいかも。ランゴバルト様に目をつけられると面倒臭いしねー」 「面倒って……」 「だってホラ、あの人『自分が最強』って思ってるから。フレイン様が二位にならないのは、ポイント調整してランゴバルト様を追い抜かないためだって聞いたことあるよ?」 「えっ? そうなのか!?」  それは初耳だ。  ランキングを決定づけるのは、死合い内容に応じたポイントだが(格上との死合いに勝ったり、短い時間で勝利した方がポイントが高い)、兄がそれを調整しているなんて初めて知った。  ということは、その気になればフレインはいつでも二位に上がれるってことじゃないか……。

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