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第28話(フレイン視点)

 チェイニーは苦笑いしつつ、こちらに近づいてきた。 「せっかくだから、少し質問いいですか?」 「いいよ、ちょうど退屈していたところだ。何でも聞いて」 「じゃ、遠慮なく。あなたはアクセルのことどう思ってるんですか?」  いきなり核心を突く質問が飛び出してきた。このチェイニーという戦士、ランキングとは別の意味で厄介な相手かもしれない。  フレインはあえて穏やかに微笑み、逆にこう問いかけた。 「私があの子のことをどう思っているかなんて、きみに関係あるの?」 「ありますよ。オレ、アクセルのこと好きなんで」  これまた大胆な発言だ。ランキング三位の戦士に対する挑戦状だろうか。こういうライバル宣言、嫌いではないけれど。 「だからわかるんですよねー……片想いの辛さみたいなヤツ。アクセルはひたすらあなたのことを追いかけてますが、あなたはあまりアクセルに執着してないでしょ? 名前は忘れるわ、左腕は斬り落とすわ、死合いになればめった斬りにして殺すわ……もうむちゃくちゃじゃないですか。見てるこっちが可哀想になってきますよ」 「…………」 「だから念のために確認しておこうと思って。もしフレイン様がアクセルのこと何とも思っていないならオレ、もっとアタックしてもいいですよね? アクセルを盗られても、何とも思いませんよね?」 「もちろんだよ」  フレインは書物を置いて立ち上がった。 「アクセルを口説きたいなら好きにすればいいさ。そんなの私の許可をもらうことじゃない。全てきみの自由だ」 「…………」 「盗れるものなら盗ってごらん。度胸のある人は好きだよ」  唇だけ笑みの形を取り、その場から立ち去る。なるほど、チェイニーか。今後は忘れないようにしなければ。自分に喧嘩を売ってくる戦士はそうはいない。  ――それにしても久しぶりだな。こんなに言いたい放題言われたのは……。  腹は立たなかった。けれど、おかしくて笑いそうになった。傍目にはそんな風に見えているのか。

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