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第34話※

「よくも邪魔してくれたな、雑魚が!」 「っ……!?」  怒りに任せ、長戟を振るってくる。正面から斬られるわけにはいかなかったので慌てて身体を捻ったが、もろに脇腹に穂先が入り、肉を抉り取られてしまった。 「がっ……!」  まさかここで味方から刺されるとは思わず、アクセルは苦痛に顔を歪めた。反撃しようにも武器はほとんど使い物にならず、(かわ)そうにも痛みが邪魔して上手く動けない。 「あれは俺の獲物だ! 雑魚の分際で勝手に仕留めるな!」 「っ……!」  なおも怒りが収まらないのか、執拗にアクセルを攻め立ててくる。長戟を横に振り抜き、続けざま柄を縦に回転させ、地面に穂先を叩きつける。手加減は一切なく、本気でアクセルを殺そうとしていた。 「くっ……!」  このままじゃ本当に死ぬ。イノシシに食われるよりはマシだが、八つ当たりで戦士に殺されるなんて冗談じゃなかった。  けれど、他の戦士は誰も助けてくれない。皆ランゴバルトが怖いのか、傍観するだけで全く止めようとしない。後で死体を回収すればいいとでも思っているのだろうか。  どいつもこいつも薄情な。  長戟が唸りを上げて迫ってくる。アクセルは条件反射で右に避けた。 「うあっ!」  左脚に長戟が当たった。ギリギリで避けたつもりだったが避けきれなかった。肉と骨が砕ける音がして、ふくらはぎから下が綺麗に千切れ飛んだ。  間髪入れず、倒れたアクセルの頭上に長戟が振り下ろされる。  ――やられる……!  せめて胸部だけは死守しようと、アクセルは身を丸めた。  だが予想していたような衝撃は襲ってこなかった。ガキン、と武器同士がぶつかり合い、誰かが呆れたように笑った。 「人狩りかい、ランゴバルト? 随分楽しそうだね」

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