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第45話
宴に参加すること自体初めてだったので、アクセルはチェイニーに教えてもらいながら自分の分の食事を確保して適当な席に着いた。
宴ではある程度の無礼講が許されているらしく、一言断りさえすれば上位ランカーの隣に座ってもいいそうだ。
それを聞いて早速アクセルは兄・フレインを捜してみたのだが……。
「ああ、フレイン様ならあそこだね」
チェイニーがくいっと親指で指し示してくれる。見れば、十人くらいの戦士の中心に金髪の美青年がいた。いつもの穏やかな笑みを浮かべ、話しかけられる度に愛想よく頷いている。
「……思いっきり囲まれてるな」
「しょうがないよ。フレイン様が宴に来ることは滅多にないし。おまけに美人だし。話したがる人はいっぱいいるんだ」
「それはそうかもしれないが……」
「はい、そんな残念そうな顔しない! せっかくだからアクセルもいろんな人と話してみるといいよ。滅多にお話できないレアな人もいるかもだし」
「そう言われてもな……」
アクセルは目だけで周りを見回した。
ヴァルハラで生活している戦士は約5000人。今のところ宴に出ている戦士は1000人程度だが、残念ながらアクセルには誰が誰だかわからなかった。
死合いの相手だったり、狩りだったり、見回り当番だったり……そういった直接的な関わりがないと、顔と名前が一致しない。
とりあえず、上位七人の戦士は全部把握しておきたいのだが……。
「こんばんは」
不意に横から話しかけられ、アクセルは何気なくそちらに顔を向けた。
――えっ……?
思わず目が丸くなった。
話しかけてきた人物は――何というか、見るからに子供だったからだ。どれだけ多めに見積もっても、十五歳程度にしか見えない。背も小さめだし……多分、アクセルの胸くらいしかないのではないか(ちなみに、アクセルは一八〇センチ近くある)。
こんな子供までヴァルハラにいるのか。あまりに若すぎる。ほとんど初陣で戦死したようなものじゃないか。なんだか少し気の毒だ。
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