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第82話*
「うっ、く……あっ……」
苦痛を紛らわせるために兄にしがみつき、なるべく深呼吸して平静を保とうとする。
これで快感が得られるのかまだわからない。今の時点では変なところに変なものが刺さっているという違和感しかなく、狭いところを無理矢理こじ開けられている感覚に不安さえ覚えた。
だが、途中で音を上げるわけにはいかない。
アクセルは既にさんざん兄を待たせてきた。生前はもとより、ヴァルハラで兄に追いつくまで――正確には、まだ完全に追いついたわけではないが――十年以上も待たせてしまった。だから例え苦痛しかなくても、兄のしたいようにしてもらいたい。
「ああ……お前の中、すごくいい……。包まれているだけで滾ってくる……」
「そんなに、いいのか……?」
「もちろん……。熱くて柔らかくて程よく締め付けてきて……最高にいい気分だよ。こんなに気持ちいいの、初めてかも……」
兄の顔から、ぽたりと官能の汗が落ちてきた。改めて兄を見上げたら、今まで見たことがないほど色っぽい顔をしていた。目は涙で濡れ、頬もいつもより紅潮している。
――こんな兄上、初めてだ……。
物心つく前からずっと憧れ、愛してきた兄。その兄が自分を抱いて興奮している。滲み出る欲望を隠すこともなく、一人の男として大人の快楽を堪能している。
「ほら……お前も感じる? お兄ちゃんがお前の中にいるの」
「ん……」
下腹部に意識を向けたら、兄の脈動が直接伝わってきた。今更ながら、兄とひとつになれたという実感が湧いてきた。生前は叶わなかったことがようやく叶ったのだ。
そのことが嬉しくて、誇らしくて、幸せだった。
「兄上……」
アクセルは腕を伸ばしてゆったりと兄を抱き締めた。
「もっと、好きにしてかまわないぞ……?」
「うん、好きにするよ。でも、せっかくならお前にも気持ちよくなって欲しいな」
「んっ……」
ゆらゆらと腰を回し、内壁を擦ってくるフレイン。入口付近から少しずつ奥に向かって摩擦され、妙な違和感が広がっていく。
――別に俺は気持ちよくなくても……。
そう思い、無言で違和感に耐えていると、中に食い込んでいた肉棒が前立腺の裏側を抉ってきた。
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