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第88話*
「はっ……あ、いやだ……兄上ぇ……」
「嫌じゃないでしょ。お前の中、すごく熱いし……案外好きなんじゃない? こういうの」
「そんな……意地悪、言わないでくれ……っ」
もちろん嫌ではない。兄に触れてもらえるなら何でも嬉しい。
だからと言って、戸惑うことがないわけではないのだ。兄が思った以上に手が早いこと、意外なくらい独占欲が強いこと……等々、生前との違いに驚かされることも多かった。
「あ、兄上……絶対生前より積極的になってるだろ……!」
「おや、積極的な私は嫌い?」
「そうじゃないが、今までとのギャップが……」
「んー……まあ、今までは結構お兄ちゃんぶってたからね。でもここでは同い年だし、遠慮することもないじゃない?」
「そういう問題なのか……!?」
「それにお前、『発散したい時は俺がつき合ってやる』って言ったでしょ? だったら好きにしていいかなって」
「うう……」
遺伝子を掻き出される羞恥に耐えながら、アクセルは兄の肩にしがみついた。
――兄上、ずるい……。
弟が拒否しないとわかっているから、こうやってぐいぐい攻めてくるのだ。口先だけで嫌がってみせても、本心は最初からバレバレなのである。
それに、自分から「つき合う」と言ってしまった手前、断ることもできない。兄が別のところに男漁りに行ってしまうよりマシだ。
「んっ、んっ……んん……う」
「……ふふ、お前は声も色っぽくていいね。耳元で聞いてると昂ってくるよ」
「はっ……またそんな冗談、言って……」
「本当だよ。お前が相手なら、何回でもやれそうだ」
「っ……」
「ちょっと立ってくれる?」
手を引かれ、浴室の壁に背を向けた状態で立たされる。
何をするのかと思っていたら、やや強引に股を開かされ、片脚を持ち上げられて兄に密着された。
「え、ちょっ、兄上……!?」
ぎょっとして兄を見返したら、兄はにこりと笑って脚の奥に切っ先を当ててきた。
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