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第92話*

「んー……でも今強くしたらお前、気絶しちゃいそうだし。それじゃ意味ないから」 「え……?」 「こういうのは強くすればいいってものじゃないんだ。相手の様子を見定めて、引く時は引く。そうじゃないと、一方的な暴力になってしまう」 「……!」 「セックスはあくまで愛情を確かめ合う行為だよ。相手をどれだけ愛して、気持ちよくさせられるかが大切なんだ。お前もよく覚えておきなさい」  その言葉を聞いた瞬間、アクセルの中で何かがふっと(ほど)けた気がした。心身ともに幸せにとろけ、胸が苦しくて違う意味で泣きそうになる。  ――兄上……。  アクセルは兄の背に腕を回し、ぎゅっと抱き締め直した。  自分は未熟だから、兄を気持ちよくさせる方法なんて知らない。好きな人を悦ばせるテクニックなんて身に付けていない。  ならばせめて、自分の気持ちだけでも……。 「兄上……好き……」 「うん、私も大好きだよ」 「違うんだ、そんな軽いものじゃなくて……もっとこう、普通の『好き』よりずっと上の……」 「アクセル……?」 「な、なんて言えばいいんだ……わからなくなった……。でも兄上、俺はあなたを……」  どうにかして気持ちを伝えようとしたのだが、兄にキスされて言葉を失った。  兄が髪に指を通しながら、優しく微笑んでくる。 「……大丈夫、お前の気持ちはよーくわかってるよ。ただの『好き』じゃないこともわかってる。この『好き』は、一言じゃなかなか表現できないよね」 「兄上……」 「でも、せっかくだからいっぱい言ってもらおうかな。……アクセル、私のこと好き?」  少し頬を上気させつつ、アクセルはこくりと頷いた。 「好き……」 「もっと言って」 「好き……兄上が好き……大好き……」 「いいね……すごく気持ちいい言葉だ。私も愛してるよ、アクセル……」 「んんっ……」  抽挿の幅が少し大きくなり、うねるような快感が強くなってくる。

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