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第93話*

 縋るものを希求するように兄にしがみつこうとしたら、両手を取られて恋人のようにぎゅっと握られた。それでまた心臓の片隅が疼き、脳内で幸せが弾けた。 「はっ、あっ……兄上……兄上ぇ……!」 「私のアクセル、愛してるよ……。これからはずっと一緒だから、ね……」 「ああ……ずっと一緒に……」  嬉しすぎて、腹の奥がきゅうんと縮こまった。兄の愛情を受け入れたくて、無意識に欲望を締め上げてしまう。 「ふふ……すごいねアクセル。これじゃ辛抱できないな……。中、出していい?」 「んっ……」  こくこくと首を振り、アクセルは強く手を握り返した。既に中はぐちゃぐちゃに溶けており、腰を動かされる度に淫らな水音が聞こえてきた。 「あっ、あっ、あぁ……っ」  何度も腹の底を突き上げられ、必死で最後の抽挿に耐える。飲み込みきれなかった唾液が唇の端から滴り、官能の涙がぽろりと目からこぼれ落ちた。  自分自身も限界を迎え、太ももを震わせながら絶頂を迎えようとした時、 「っ……」 「うんん……ッ!」  兄の熱が大量に注ぎ込まれ、下腹部が少し張るような心地を覚えた。その苦しさが何とも言えない快感で、アクセルもまた白濁を勢いよく噴き上げた。 「……ふふ」  満足げに己を引き抜き、兄が脱力している自分を抱き起こしてくれる。そして風呂桶をとって温かい湯をかけてくれた。 「すっかり夢中になっちゃった。湯浴みする予定だったのに」 「兄上がエッチだからだ」 「エッチな私は嫌い?」 「……そういう言い方はずるいぞ」  わざと風呂桶を奪い、頭から湯を被る。  その後、中に出されたものを――兄に丁寧に掻き出され、全身を綺麗に洗い、二人で仲良く湯船に浸かった。  やりたい放題やった兄はかなり満足したようで、これ以上手を出してくることはなかった。

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