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第109話
アクセルは、「見回り当番」の集合場所に赴いた。
――やれやれ、家に帰るのはまた夜遅くになりそうだな……。
見回り当番はこれまで何度もやったことがあるので、勝手は十分わかっている。要するに、事件やトラブルが起こっていないか、ヴァルハラ全体を見て回ればいいだけだ。
ただ、これが意外と骨の折れる仕事で、広いヴァルハラをたった五人で巡回しなければならず、何か事件やトラブルがあったら――時には身体を張って――解決し、「〇〇で××がこんなことをしていた」などの報告書を全部まとめなければならない。
しかも、その見返りとしてもらえるポイントは微々たるもので、ランキングにはさほど影響しないときた。
治安維持のために必要とはいえ、「見回り」はオーディンの眷属(エインヘリヤル)の中で最も人気のない仕事だった。
――というか、専門の警備隊みたいなものを作った方がいいのでは……。
毎週当番が変わることに加え、たった五人しか当番にならないというのはいかがなものだろう。前々から思っていたが、まったく手が足りない。
5000人以上もの戦士がいるのだから小さな諍いは当たり前だし、時には血みどろの乱闘騒ぎになることもある。それを五人だけで全て丸く治めるのは、はっきり言って不可能だ。
それでも、仕事として割り当てられたからにはできる限り頑張るつもりだが……。
「ああ、来た来た」
アクセルが到着した時には、他の戦士は既に集まっていた。四人のうち一人がこちらに声をかけてくる。灰色の髪をワイルドにカットし、眼光も獣のように鋭かった。
「あんた、アクセルだよな? オレはウルフ。よろしくな」
「ああ、よろしく……。それで、今日の見回りルートだが」
「おう、それはオレが考えといたぜ」
と、ウルフがバサッと地図を広げた。
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