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第121話

 ミューの道案内はかなり強引で、茂みをずんずん突き進むわ、行く手を遮っている樹木を切り倒すわ、やりたい放題だった。  ――これは道案内じゃなくて、自ら道を切り開いてる感じだな……。  さすがはランキング一位の戦士、やることが豪快である。見た目は可愛らしい少年なのに、なんだろうこのギャップは。  無理矢理森を突っ切り、どうにか街に戻る。崖から落ちて、狼に襲われた上、腕一本持って行かれてしまったが、なんとか無事に帰って来られてよかった。  早速泉に向かおうとした時、兄が首を捻って後ろを見た。 「ねえアクセル、あの子ついてきてるよ」 「えっ……?」  一緒に後ろを振り返ったら、二、三メートル離れたところにピピがいた。数歩進むとピピも数歩ぴょんぴょん跳ね、足を止めるとピピも止まる。  アクセルは苦笑した。 「……参ったな。随分懐かれてしまった」 「お前はよくも悪くも動物に好かれるねぇ」 「そうらしいな……。しかしどうしよう」  ペットを飼うのは可能なのか、可能だとして何位以上なのか、いや……そもそも野生のうさぎをペットにしていいのかどうか。  どうすればいいかわからなかったので、見なかったことにしてとりあえず泉まで行ってみた。服ごと水に浸かり、もらった傷を癒していると、 「ぴー、ぴー」  泉の近くでピピが鳴き始めた。こちらに近づきたいけれど、泳げないから困っている……といったところか。 「あの子、やっぱりどこまでもついて来るね」  と、兄が水面にプカプカ浮きながら言った。無傷の兄が一緒に泉に入っているのは少々謎である。 「この際だから、自宅で飼っちゃえば?」 「それもアリかもしれないが、普通のうさぎを飼う要領でいいんだろうか……。ヴァルハラの動物は摩訶不思議なものが多いし、何を食べるかもわからないんだが」 「ニンジンあげとけば大丈夫じゃない?」 「……本当かよ?」  もし飼うことになったら、図書館でいろいろ調べて来ないといけないな……と思った。  犬にとっての玉ネギのように、食べさせてはいけないものを与えて死なせてしまったら大変だ。飼うからには責任を持って面倒を見ないと。

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