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第124話

 アクセルは少し笑いながら言った。 「食べないよ。飼えるなら飼うつもりだけど」 「ふーん、そうなんだ? でもそのうさぎ、多分もっと大きくなるから山に帰すのが無難だと思うなー」 「え、そうなのか? 大きくって言っても、このくらいだろ?」  このくらい、と両手で三〇センチくらいの幅を作ってみせる。  だがミューは少し首を傾けた。 「どうかなー? ヴァルハラの獣たちは、成長すると大きくなるのが多いよ。中には見たことないような神獣になるのもいるし。ペットは禁止されてないけど、ちゃんと選ばないと後で大変なことになるよ」 「そうか……」  アクセルはピピに目をやった。すりすりと嬉しそうに頬をすり寄せてくる。  ――可愛いんだけどな……。  できることなら飼ってやりたい。でも、例の大イノシシくらいまで大きくなってしまうのならさすがに自宅では飼えない。  困ってしまい、兄に意見を求めた。 「兄上はどう思う?」 「そうだねぇ……まずはその子がなんていう動物なのか調べるのが先じゃないかな。でないと、どのくらい大きくなるのかもわからない」 「……まあそうか。見回り終わったら図書館にでも行ってこようかな」 「え? お前、まだ見回りするつもりなの?」 「だってまだ見回り途中……」  そう言いかけたら、兄に拳でコツンとやられた。 「もう……そういうクソ真面目なところをつけ込まれるんだよ。他の連中が全員サボってるのに、お前だけ見回りしてもしょうがないじゃないか。今日は仕事切り上げて、図書館行くんだ。わかった?」 「…………」 「お返事は?」 「……はい、兄上」  苦笑しながら返事をする。  まあ仕方がない。一人で見回りしても無意味なのはわかっているし、サボってもたいしたペナルティーにならないのは事実だ。  ――まったく、兄上にはかなわないな……。  ザバッと泉から上がり、図書館に向かおうとする。  すると、ずっと待っていたミューが少し頬を膨らませた。

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