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第125話
「えー? 狼料理作ってくれるんじゃないの?」
「それはもう少し待ってくれ。調べ物したらすぐ狼捌くから……兄上が」
「ありゃ、私が捌くのかい?」
「捌くのは俺より得意だろう?」
「まあね。じゃあ捌く代わりに、今日も美味しい夕食を作ってもらおうかな」
狼料理は難しいが、兄のためなら腕を振るうのもやぶさかではない。
どうやって料理すべきかな……と考えつつ、アクセルは図書館に行った。兄とミューも一緒についてきた。
とりあえず動物図鑑を引っ張り出して、該当する動物を探す。「うさぎ」の項目を中心に調べてみたのだが(全部で二〇種類くらい載っていた)、色や形が微妙に違っていて、ピピに当てはまりそうなうさぎがなかった。
――おかしいな……。
図鑑とピピを何度も見比べてみる。
ピピは手のひらサイズの白いうさぎだ。長めの耳といい、丸い尻尾といい、どこをどう見てもうさぎだ。それ以外の動物には見えない。
それなのに、何故「うさぎ」のページに載っていないのだろう。乱丁か?
「ねえアクセル」
神獣図鑑を開いていた兄が、こちらにページを見せてきた。
「これじゃない?」
兄が見せてくれたのは、お腹に袋を持っているカンガルーのような動物だった。ただし大きさはカンガルーの比ではなく、全長三メートルくらいある。餌も草ばかり食べるわけではなく、時には小型の狼も食べてしまうような雑食らしかった。
「ええー……?」
アクセルは改めてピピと図鑑を見比べた。
確かに「子供の頃」のページを見るとピピにそっくりである。サイズも色も身体の形も鳴き声も、全部条件に当てはまった。
だが、大人になってからの姿があまりに今と違いすぎてにわかには信じられない。
「きみ、こんなに大きくなるのか? 全然想像できないな……」
「ぴー」
人差し指で軽くつついてやったら、ピピはくすぐったそうに身体をよじってアクセルの指を甘噛みしてきた。
可愛いし、癒される。見てるだけでほっこりする。
だが……。
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