132 / 2015

第132話*

「私、大抵のことは笑ってスルーできるけど、今のはちょっと見過ごせないな。お前、私のことをなんだと思ってるの」 「ち、違う! そうじゃないんだ! 俺はそんなつもりで言ったんじゃ……」 「じゃあどんなつもりだったわけ? お前は私が好きで、私もお前が好きだ。不仲になんてなりようがない。にもかかわらずそんなに不安がっているのは、私の気持ちを信じきれていないからじゃないの?」 「そっ……」 「……それは、さすがの私も悲しくなるよ」  両腕を背中に回され、手近な紐でひとつに纏められてしまう。ぎょっとして振り返った途端、今度はベルトを緩められ、下着ごとズボンを下ろされてしまった。 「あ、兄上、何を……!」 「……言葉や態度でわからないなら、身体に刻み込むしかないと思ってね」 「っ……!?」 「お前がわかってくれるまで、たっぷり私を味わわせてあげるよ。……あ、優しくするつもりはないから、よろしく」 「あっ……!」  剥き出しの尻を高く抱え上げられ、引き締まった双丘を両手でぱっくり割られてしまう。奥に潜んでいた窄まりに、ぽた……と唾液を垂らされ、淫靡な感覚に身震いした。 「う……っ!」  いきなり中指を突き入れられ、くぐもった呻き声が上がる。最初から容赦なく中を抉られ、生理的な刺激に身体が熱くなってきた。下肢に欲望が集中し始め、男根が硬くなりかけているのが見なくてもわかる。  こんな半強制的な行為でも、兄にやられると素直に反応してしまう自分が恥ずかしい。 「はっ……あ、兄上ぇ……」 「……こんな反応してるくせにね。何が不安なのかわからないよ」 「っ、んっ……」 「お前の気持ちがわからない……」  その呟きを聞いた時、心臓の片隅がズキンと痛んだ。  ――兄上……。  こんなはずじゃなかった。兄を傷つけるつもりなんか全然なかった。ただ、胸の内に芽生えた不安を何気なく吐露しただけだった。  でも、結果的に兄を怒らせてしまったのは事実だ。今更ながら不用意な発言だったなと思う。  ただ、愛しているからこそ不安になってしまう。それもまた事実ではなかろうか……。

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