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第139話*
とろん……と溶けた視界に兄が映った。いつにも増して美しく男性っぽい顔に、どうしようもなく胸が疼いた。何をされても、際限なく兄を好きになってしまう自分が少し恐ろしかった。
「兄上……」
両手を差し伸べようとして、紐で縛られていたことを思い出す。このままでは大好きな人を抱き締められない。すぐ側にいるのに悲しすぎる。
「あの、兄上……そろそろこれ……」
アクセルは両腕を揺らして訴えた。
兄を抱き締められないのもそうだが、単純に両手が使えないのは不便だ。何かにしがみ付くこともできないし、後ろに回されっぱなしなので肩も痛んでくる。
すると兄は少し首をかしげて聞いてきた。
「あれ? お前、縛られるの嫌いなの?」
「そ、そういうことではなく……。とにかく外してくれないか……? いい加減辛くなってきた……」
「もう、しょうがないな」
身体を横に転がされ、後ろに回されている腕の拘束を解かれる。ずっと背中に敷かれて痺れていたが、自由になった途端、腕の痺れも忘れた。
アクセルは当たり前のように兄に手を回し、意外とたくましい背中に抱きついた。
「兄上……好きだ、愛してる……」
「うん……私も大好き。見た目も性格も、全部ね……」
「全部……?」
「うん、全部……。お前の肉を知る度に、愛しくなってたまらないよ」
「……うっ……!」
急に兄の硬さを感じ、アクセルは低く呻いた。あまりに馴染みすぎて、今まで入りっぱなしだということを忘れていた。
「あの、兄上……すまないが、一度抜いて欲しいんだが……」
「えー……でも私、まだ出してないし……」
「っ……い、いや、でも」
「ところでお前、縛られるの嫌いじゃないよね?」
「……えっ?」
「せっかくだから、別のところ縛っちゃおうか」
兄が解いた紐を掴み、少し身体を起こした。
何をするのかと身構えた瞬間、陰部の根本に激痛が走った。
「いッ……!」
見れば、兄が張り詰めた根本に紐を巻き付けてしまっていた。これでは出したくても出せない。目から生理的な涙があふれ、ぼろぼろ頬を伝い落ちる。
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