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第142話*

 そう言えば、こんな展開になったのは何が原因だったろう。ミューから身の上話を少しだけ聞いて、兄と不仲になりたくないなと思って、抱えていた不安を暴かれて、自分に自信がないことも自覚させられて……。  兄が耳元で囁いてきた。 「大好きだよ、アクセル。不安になったら何度でも愛してあげる。お前は今のままでいい。……それがいいんだ」 「……ありがとう、兄上」  深すぎる愛情に涙が出てきた。  不安になることなんて何もない。兄はちゃんと自分を愛してくれている。今のままで十分魅力的だと言ってくれる。それだけで、少し自信が持てるような気がした。 「……んっ」  入りっぱなしだった楔を引き抜かれ、ようやく圧迫感がなくなった。  途端ずしりとした倦怠感が襲ってきて、アクセルは小さく息を吐いた。すぐに起き上がりたかったが、指を動かすことすら億劫だった。 「ありゃ、疲れちゃった?」  ぐったりと身体を投げ出していると、たくましい腕で抱き起こされた。何も考えずに肩に頭を預けていたら、急にふわりと身体が浮いた。当たり前のように兄が自分を横抱きにしており、驚愕するのと同時にかあっと頬が熱くなる。 「ちょっと兄上、何を……」 「ん? 一緒に湯浴みしようかと思って」 「えっ!? 兄上も!?」 「うん。一人にして風呂場で倒れられても困るし。お兄ちゃんが一緒に入ってあげる」 「いや、そんな……一人で大丈夫だから」 「だーめ。可愛い弟の面倒は私が見ないと。代わりに身体洗ってあげるよ」 「兄上ぇぇ……」  何度断っても、兄は言うことを聞いてくれない。これでは昨日と同じ展開になってしまう。キリがない。 「兄上、本当に俺一人でいいから……」  風呂場のドアを開けたところでもう一度言ってみたが、やはり兄は止められなかった。 「私が一緒にいると困る?」 「そ、そういうことではなく……」 「じゃあいいよね。中も外も綺麗にしてあげるから、安心して」 「うう……」  ……これはもう、腹を括るしかないようだ。  案の定、アクセルは石鹸で身体を洗われながら、再び限界まで兄に犯されたのだった。

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