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第143話
それから一週間。アクセルは一応、真面目に見回り当番をやりきった。効果があったかは謎だが、仕事だからと割り切って無駄な見回りをこなした。
「ホント、アクセルは真面目だね~」
食堂で昼食をとっていたら、チェイニーに呆れた顔をされた。
「そんなほとんど意味のない仕事なんてサボっちゃえばいいのにさ」
「全く意味がないわけでもないぞ。少なくとも、『たった五人では意味がない』ことはわかった」
「そりゃあね。でも、だからどうするって感じだけど」
「だから今後は、当番という形ではなく『固定の組織』として大人数で見回りする必要があると思う。それこそ、『治安維持組織』のような団体を結成した方がいい」
「へー……。確かに、その方が効率よさそうだけど。それじゃ、ヴァルキリーを通してオーディン様にお窺いをたててみる?」
「お窺いって、普通にレポート書けばいいのか?」
「うん。後でやり方教えてあげるよ」
「そうか、ありがとう」
アクセルはちらっと時計を確認した。正午を少し過ぎたところだった。午後の死合いが始まるまで、あと一時間ほどである。
「そういや、午後からフレイン様の死合いあるんだっけ? 見に行くんでしょ?」
「もちろんだ。きっと面白い死合いになるぞ」
今朝方、一週間分の死合いスケジュールが発表されたのだが、それを見た時、アクセルはうっすらと鳥肌が立った。
何しろ兄・フレインの対戦相手は、ランキング二位のランゴバルトだったからだ。
――兄上とランゴバルト様の力は、ほぼ互角だからな。
達人同士の死合いほど面白いものはない。勉強になることもたくさんあるだろう。想像するだけでわくわくする。
「よかったねー。フレイン様、席とっといてくれて」
と、チェイニーが笑った。
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