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第151話※

 ――兄上、そこまで考えて……。  あのランゴバルトに兜を脱がせた。力ずくで兜を叩き割るのではなく、最小限の労力で最も効果的なダメージを与え、かつ頭の防具を削ぎ落とした。兜がなければ頭部も狙い放題。鎧を纏っているランゴバルトより身軽な分、勝機も増える。  自分では全く思いつかない作戦だ。感動した。そしてますます兄のことが好きになってしまった。  俺も早く戦いたい。本気の兄上と死合いたい。見ているだけでウズウズする。ランゴバルトと交代できたらどんなに楽しいだろう。こんなに興奮する死合い、初めてだ……。 「アクセル」 「もがっ……」  一人でウズウズしていたら、ミューにペロペロキャンディーを突っ込まれた。口に広がった甘い味に驚いていると、ミューはニヤリと口角を上げて言った。 「興奮してるならこれでも舐めとけば? あまりウズウズしてると下半身も反応しちゃうからさー」 「は!? え!?」  慌てて下半身に視線を落としたが、今のところおかしな反応はしていない。……多分。  するとミューは小さく吹き出しながら、新しい飴を自分の口に入れた。 「まあ下半身は冗談だけど、アクセルが興奮してるのはわかったよ。フレインとイチャイチャしたくてしょうがないんだよね?」 「イチャ……!? い、いや、俺はそんなつもりじゃ」 「同じことだよ。好きな人とやるんだったら、死合いも閨事もたいして変わらない」 「…………」 「でも残念ながら、フレインは今ランゴバルトと死合い中だからね。一人でウズウズしてもしょうがないし、観戦中は飴でも食べて我慢するんだよー」 「あ、ああ……」  バツが悪くなり、ミューから目を逸らして飴を咥える。  ――死合いも閨事も同じ、か……。  興奮状態に入り、快楽を求め、相手と真剣に対峙する。そういう意味では同じと言えなくもない。事実、今感じている疼きは兄に抱かれる時とよく似ている。死合いが終わって兄が全快したら、少し遊んでもらいたいとも思っていた。

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