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第152話※
改めて会場の中央に目をやる。兄とランゴバルトが咆哮を上げながら斬り合っていた。肉を抉り、腕を削ぎ落とし、全身血まみれになりながらも、互いの顔には笑みが浮かんでいた。二人とも本当に楽しそうだった。
兄の右脚が吹き飛んだ。兄は鞘を素早く引き抜き、義足の代わりとして右太股に縛りつけた。
ランゴバルトが武器を左腕に持ち替える。既に右腕は肘から下がぐらぐらしており、皮一枚で繋がっていることは明白だった。
「そろそろ、決めようか」
「望むところだ」
兄がランゴバルトの間合いに踏み込んだ。ランゴバルトが左手一本で長戟を回転させた。
兄は紙一重でそれをかいくぐり、ランゴバルトの頭部に太刀を振り下ろした。
「グオォォッ!」
ランゴバルトが、使い物にならない右腕で太刀を防御する。そして太刀の刺さった右腕もろとも兄の右腕を切り落とした。
「く……」
素早く左手で太刀を掴み、ランゴバルトに蹴りを入れて間合いの外に抜け出す。自分とランゴバルトの右腕を口で強引に引き剥がし、左手左脚だけでふらつく身体を支えている。
「これで終わりだ!」
ランゴバルトが兄の間合いに踏み込み、長戟で兄の胴を薙ぎ払った。
兄はそれを太刀で防いだが、空気までは防ぐことができず、腹部をスッパリ切られて前列の壁に叩きつけられた。
「はっ……は……っ」
ずるずると身体がずり落ち、地面に頽れる兄。痛みは感じなくとも、さすがにもう立ち上がることはできないみたいだ。
「トドメだな」
ランゴバルトが兄に近づき、長戟を振るう。今度こそ首を刎ねようとしていた。
長戟が兄の首元を貫いた。だが、それと同時にランゴバルトの後頭部から太刀の切っ先が飛び出した。
兄の愛刀は間違いなくランゴバルトの頸椎を刺し貫いていた。
「……引き分け、かな……」
「ぐ……」
ランゴバルトが地面に倒れた。兄も半目のまま動かなくなった。血の海に沈んだ二人は、それでも満足げな顔をしていた。
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