「これから夕飯ですか？　よかったら一緒に宴にでも行きません？」 「いや、いい。今日は自炊するつもりだから」 「ああ、アクセルさんって料理上手いですもんね。どういう料理が得意なんですか？」 「それは、まあいろいろ……」 「レパートリーがいっぱいあるってことですか？　さすがですねー。料理ができる男ってかっこいいですよ」 「ありがとう……」 「そう言えば、明後日アクセルさん死合い入ってますよね？　僕も見に行っていいですか？」 「あのな……」 　そろそろいい加減にしてくれと思い、アクセルは足を止めてロシェに向き直った。 「さっきから一体何なんだ？　何か用があるのか？　用があるならハッキリ言ってくれ」 「いえ、その……用というか、お願いというか」 「お願い？　また母親の形見を探して欲しいのか？」 「や、やだなー。アクセルさん、そんな意地悪言わないでくださいよ。もうあんなことしませんって」 「じゃあ何だよ？」 　変なお願いだったらすげなく断ろうと思いつつ、一応聞くだけ聞いてみようと腕を組んだ。 　するとロシェは、深々と頭を下げてこんなことを言ってきた。 「アクセルさん、僕を子分にしてください！」 「……。……は？」 「この間の対応で僕、アクセルさんに惚れたんです！　この人についていけば間違いないと思いました！　なので是非！　僕を子分にしてください！　お願いします！」 「い、いや、子分はちょっと……。俺はそんな身分じゃないし」 「何言ってるんですか！　アクセルさんはもうランキング三十五位の強者でしょ。子分の一人や二人いてもおかしくないですよ」 「そういうことじゃなくて、俺は最初から子分を持つつもりはないんだ」 「まあそう言わずに。アクセルさんの要望なら僕、買い物でも席取りでも何でもしますから」 「いや、買い物も席取りも自分でやるし……」 「子分的なサポートは何でもするって意味ですよ。というわけで、よろしくお願いします！」 「いや、よろしくと言われてもな……」 　ロシェは既に子分になる気満々である。何かを企んでいるようには見えないが、だからと言っていきなり「子分にしてください」なんて言われても困る。