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第158話*

 その間にズボンの隙間から手を入れられ、臍の下を(まさぐ)られ、次いで直接シンボルを握られてしまう。 「うっ……!」 「おや? もう反応してる。朝だからかな」 「あ、あ……っ」 「それとも昨日の興奮が残ったままだから? もしかして発散してなかった?」 「っ……」  図星を突かれ、言葉を失う。みるみる頬が熱くなり、バツの悪さに顔を背けた。 「ほら、こっち向いて」  両手で顔を掴まれ、無理矢理正面を向かされてしまう。至近距離で顔を舐めるように見られ、思わず泣きそうになった。  ――兄上、こういうところはいつもずるい……。  こうして見つめられると、自分は何もできなくなる。ただ兄に翻弄されるまま、ひたすら抱かれ、ひたすら喘がされ、ひたすら快感の中に沈められるのだ。時々刺激が強すぎてついていけなくなることもあり、もう少し手加減してくれないだろうかと心の片隅でぼやくこともある。  好きな人がやることなので決して嫌ではないのだが、兄が想像以上のやり手だから、初心者のアクセルは苦労することも多いのだ。  もちろん、こんなことなかなか口に出せないが……。 「あ……っ」  するりとズボンを脱がされ、剥き出しになった尻に手を這わされる。  本当にこの調子で最後までやるつもりなのだろうか。起き抜けに抱かれるなんて、アクセルには少々刺激が強いのだが。今日は一応一日非番だが、万が一ベッドから起き上がれなくなったらどうしよう……。 「っ……あの、兄上……やるなら少し手加減を……」 「手加減して欲しいの? かなり溜まってそうなのに」 「で……でも、朝から動けなくなったら困るし……」 「ああ、それは大丈夫だよ。今まで何度かやってきたけど、歩けなくなるほど酷い腰痛にはならなかったでしょ?」 「それはそうなんだが……」 「心配しないで。お前が本気で嫌がることはしないから。お前が悦ぶことしかしないから、ね?」  ……そんなこと言われたら、ますます何も言えなくなってしまう。

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