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第160話*

「兄上、なんで……」 「言ったでしょ? 欲しいならおねだりしなさいって。何をどこにどうして欲しいのか、ハッキリと言ってごらん」 「えっ……!?」  愕然と目を見開く。  何をどこにどうして……って、そんなのアレをそこにこうして……に決まっている。わざわざ口に出すまでもなく、むしろこの先の展開は兄の方がよくわかっているはずだ。  にもかかわらずアクセルに強要するということは……。 「あ、兄上の意地悪……っ!」 「そうかな? 他の人はともかく、お前に対しては優しいお兄ちゃんでいるつもりなんだけど」 「そりゃあ普段は優しいけど……っ!」 「だろう? だからお前のおねだりなら何でも聞いちゃうよ。……さ、どうして欲しい?」 「っ……」  再び挑発的に肉棒を擦りつけられ、アクセルは細かく身震いした。  早く挿れて欲しい。太くて硬いもので中を思いっきり突き上げて欲しい。狂おしいほどの快感を、気絶するまで味わわせて欲しい。  そう目で訴えたけれど、やはり兄は挿入してくれなかった。既に入口はひくひく収縮し、涎を垂れ流しながら刺激を心待ちにしている。肉襞が痒くなり、中心が痛いほど張り詰めて、本能的な疼きが我慢できなくなってきた。 「うう、う……」  アクセルはぽろぽろ涙をこぼしながら、蚊の鳴くような声で言った。恥ずかしいことこの上ないが、背に腹は代えられなかった。 「あ、兄上……」 「うん、なに?」 「あなたの……を……俺、に……」 「んー……なんだかハッキリしないね。もっと明確に言えないかな」 「っ……!」  かあぁっと頭に血が上ってくる。  これでも自分なりに精一杯頑張ったのだ。なのに、もっとはっきりした単語を口にしろと言うのか。兄にとっては簡単なことかもしれないが、自分はもう十分恥ずかしい思いをした。いい加減許してくれてもいいではないか……。

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