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第178話(リバ注意)

「えっ……?」 「私がヴァルハラに来て二日目だったかな……細かい順位や名前は忘れたけど、当時の先輩ランカーに急に呼び出されてね、『この場でストリップしろ』って要求された」 「は……?」 「断ったら三人がかりで襲ってきたよ。全く経験なかったのにいきなり乱暴されて、大事なところを怪我しちゃった。あれはかなり痛かったな」  ちょっと想像しただけでも吐き気がしてきた。動揺して指先が細かく震え、みるみる血の気が引いてくる。  兄は更に続けた。 「その次は、もっと上のランカーだった。棺当番だった私を捕まえて、一晩中身体を弄んで来た。最初の先輩よりは優しかったけど、気持ち悪いだけで快感は覚えなかったね」 「え……あ……」 「まだまだあるよ。ミューやユーベルと一緒に監禁されたこともあるし、宴の余興と称して卑猥な衣装を着て踊らされたり……」 「もういい!」  聞くに耐えなくなり、アクセルは兄の言葉を遮った。 「もういいよ、兄上……」  そして強く兄を抱き締める。  胸が痛かった。大切な兄が自分の知らないところでそんな目に遭っていたのかと思うと、悲しくて悔しくて歯がゆかった。涙があふれて止まらなかった。兄にひどいことをした連中を、片っ端から斬って回りたいくらいだ。  すると、兄は少し驚いたように目を丸くした。 「ありゃ……なんでお前が泣いてるんだい?」 「だ、って……兄上、そんなひどい目に……」 「ああ、ごめんごめん。ちょっと話を盛り過ぎたかな。随分昔のことだから今はもう大丈夫だよ。ほら、泣かないで、ね?」 「うう……」  指先で兄が目元を拭ってくれる。それでも涙を止められずにいると、優しく抱き締められて頭を撫でられた。 「つまり何が言いたいかって言うとね……ひどくされようが優しくされようが、私にとっては全部同じってことさ。さっきのエピソードも、細かい違いはあるけど、正直内容は関係ない。好きな人かそうじゃないか、やられた相手だけが問題なんだよ」 「そ……れは……」 「だからね、アクセル」  涙のスイッチを止めるように、わざと音を立てて兄が額にキスしてきた。

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