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第184話

「テクニックが未熟というのもあるけど、精神的にあまりに未熟だった……。兄上の色気にあてられて、本当に理性が吹っ飛んだ……。兄上の上に乗るには、まだまだ修行が足りないんだ」 「そうかな。そこまで真面目に考えなくてもいいのに」 「兄上がよくても、俺が嫌なんだ……。優しくしたかったのに、本能に負けて乱暴しそうになるのは……」  兄の背中に手を回し、その包容力に縋りつく。 「だから、俺は当分下でいい……。初めては経験したし……やっぱり俺は、兄上にリードされる方が性に合っている」 「ふふ、そっか。お前はとことん弟ポジションなんだね」  弟ポジション……と言われればその通りかもしれない。心の底では「兄なら何をしても許してくれるだろう」と甘え、彼の優しさに縋っているのだ。  大人になった今でも自分は、兄におんぶに抱っこなのである。 「んー……でも、本音を言えばもっとぐちゃぐちゃにして欲しかったんだけどな」  むくりと身体を起こし、兄が自分の腹部に手を当てた。 「出されたと言ってもまだ一回だけだし。あと二、三回はイケる気がするなぁ」 「ええ……? 兄上、どれだけ絶倫なんだ……」 「経験があるって言ってくれない? その点、お前はまだまだ経験不足だね」 「……そっちの経験は、そこまで豊富でありたいとは思わないんだが」  その後、二人で身体を洗い合い、中も綺麗にして浴室を出た。案の定、兄がちょいちょい手を出してきたが、「これ以上やったら本当に怒る」と言って断った。  簡単な朝食を作り、兄と向かい合って食事をとる。 「ところでお前、今日は非番だっけ?」  と、兄がトーストを齧りながら聞いてきた。 「もし暇なら山にでも行かない? ハチミツでも採りに行こうよ」 「ハチミツ? それなら市場にも売ってるんじゃ……」

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