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第210話(フレイン~アクセル視点)

 ――仲直り、しなきゃね……。  話すべきことはきちんと話して、お互いに反省し合う。フレインだって、ヴァルハラのハチごときに弟との関係を壊されたくない。どんなに傷つけられても、弟のことを愛しているのは変わりないのだから……。  フレインは乱れた髪を手櫛で整え、武器を持って玄関に向かった。 「世話になったね、ジーク。いつか何かで埋め合わせするよ」 「埋め合わせはともかく、もうこんな貧乏くじは御免だぜ。兄弟なら兄弟らしく、ちゃんと仲良くしてろよな」 「わかってるよ。それじゃ、私は帰るね」 「おう、とっとと帰れ。俺も出掛けるから」  ジークと一緒に家を出て、すぐに分かれてオーディンの館に足を運んでみた。アクセルはもう復活しているだろうか。  ――あっ……。  館からアクセルが出てきて、館前の階段を降りていた。どうも頭がボケボケしているようで、首をかしげて訝しげな表情をしている。やはり、何故自分が棺に入っていたかわかっていないようだ。  苦笑しつつ、フレインは早速側に寄ろうとした。  ところが、タイミング悪く別の誰かが一足先にアクセルに話しかけてきた。しかもそれは、フレインがマークしている問題児の一人だった。 ***  ――おかしいな……。  棺から出たアクセルは、一生懸命記憶の断片を繋ぎ合わせていた。  何故自分は棺に入っていたのだろう。昨日、兄とユーベルと一緒にハチミツを採りに行こうとして、自分のミスで下山したところまでは覚えている。けれどその後はどうも記憶が曖昧だった。自分が何をしていたかよく覚えていない。  兄に会えば詳しいことを教えてもらえるだろうから、まずは兄に会いに行こうか……。  そう思って階段を降りきった時、横から誰かに話しかけられた。 「親分!」 「……え? ロシェ?」  一方的に子分を名乗っている戦士・ロシェだ。昨日の朝も家に尋ねてきた。また朝の挨拶だろうか。

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