221 / 2001

第221話

 外に出る気にもならなかったので――というか、あまり人に会いたくなかったので、その後は家でピピ専用の寝床を作ることにした。どうせすぐに大きくなってしまうから意味は薄いかもしれないが、今夜一泊くらいなら間に合うはずだ。  アクセルはまず着古した自分のシャツを数枚選び、それを裁断用のハサミで適当に切った。モルモットくらいの大きさだから、大きめのクッションサイズに仕上げれば事足りるだろう。  次に切った布を裏向きに二枚合わせ、針と糸で縫い付ける。袋状になったところで裏返しにし、いらない藁をたっぷり詰め込んだ。ふかふかになったところで再び口を縫い、形を整える。 「ほらピピ、できたぞ」  出来上がった寝床を自分のベッドの近くに置いてやる。  するとピピはトコトコ近づいて来て、探るようにクッションに前脚を置くと、真ん中でゴロリと丸くなった。 「気に入ったか?」 「ぴー」 「そうか、それはよかった」  かなり適当に作ってしまったが、バリバリに噛み千切られなくてよかった。  手持ち無沙汰になったので、今度はキッチンに行ってみた。以前ケイジからアイデアを授かった「肉まん」とやらを作ってみようと思ったのだ。  ――確か白い皮で肉を包んで、それを蒸せばよかったんだよな……。  皮の材料がよくわからなかったので、小麦粉に水を入れて練り、それを薄く伸ばして皮にしてみた。肉は余っていたイノシシの干し肉を細かく刻み、一緒にネギも混ぜてあんを作る。食材を一心不乱に切り刻むのは、いい憂さ晴らしになった。  ――そう言えば……。  唐突にある疑問が頭をよぎった。本当に唐突で、何故こんなことが急に浮かんだのかわからなかった。  棺から目覚めてすぐ、アクセルはロシェに会った。あの時は気にも留めなかったが、彼はこう言っていなかったか? ハチミツ採集なんてすごく危険なのに……と。

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