224 / 2001

第224話

 最初は硬くて削りづらかったが、根気よく回りの皮を取り除き、剥き出しになった木肌を丸く削ってうさぎの胴体を作る。  ――って、ここからどうやって耳をつければいいんだ?  別の木で耳を作って接着剤でくっつけるのか? いや、それはないか。木彫りの像は何度か見たことがあるが、パーツの繋ぎ目などなかった。  ということは、うさぎの耳、顔、胴体、足、尻尾を全部この丸太で削らなきゃいけないということで……。  ――結構難しくないか、それ……。  しかも、元の丸太よりかなり小さくなりそうだ。少なくとも、実物大のピピを作るには、その倍くらいの大きさの丸太を用意しなければならない気がする。 「でも、うちにそんな大きな丸太はないしな……」 「ぴ?」 「なあピピ、木彫りって意外と難しいぞ。ヒマだからやるけど」 「ぴー」 「今度は木から探して来ないとダメかもな」  少なくとも、暖炉用の堅い木でやるべきではない。削りづらいし、乾いているので作業中にヒビが入りやすくなる。  最初だし、マスコット的な可愛いうさぎにしよう。手足をつけたら絶対難しい。  そう方向性を変え、アクセルは黙々と木を削っていった。  下書きなしで削ったので、頭と身体のバランスが悪くなってしまったが、一度削ったものを修正するのは難しく、「もうしょうがない」と開き直って成形していくことにした。  顔と耳を削り、身体もなるべく丸くして、後ろに丸い尻尾を付け加える。  そうして夜までずーっと木を彫り続けた結果、どうにかこうにかうさぎっぽいものが出来上がった。 「……よし、こんなものか」 「ぴ?」 「できたぞ、ピピ」 「ぴー」  ピピの近くに木彫りのうさぎを置いて見比べる。  本物には程遠いが、とりあえず誰が見ても「うさぎ」というくらいの出来にはなった(多分)。時間も潰せたし、思った以上に集中できた。  今度やる時は元の木からちゃんとしたものを選びたいところだ。

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