242 / 2001

第242話

 歯切れの悪い兄を訝しんでいると、ユーベルの他にジークとミューが、とある三人組を連れてやってきた。両手にお縄を頂戴しているのは、ウルフ、ビラク、それにロシェだった。 「おーい、フレイン。こいつらどうするよ?」 「許可してくれたら、今すぐ三人まとめて首落としてあげるよー」  ジークが縄を持ち、ミューが嬉々として大鎌を構えている。  ますますわけがわからなくなったアクセルに、兄は苦笑して答えた。 「あのロシェってやつが最近やたらとお前に近づいてくるから、どうもおかしいなと思っていろいろ様子を窺っていたんだ。ジークたちにも手伝ってもらってね」 「え……そうなのか?」  兄とジークたちを交互に見たら、ミューが「うんうん」と頷いてくれた。  再度兄を見返し、口を開く。 「様子を窺っていたって、一体どういう……?」 「要するに、一度お前と距離をとって隙を窺っていたんだよ」 「えっ……?」  思わず目が丸くなる。兄は続けて言った。 「まあ、私は最初からちょっと怪しいと思ってたけど、決定的におかしいと思ったのはお前とハチミツ採集に行った時かな。あの時、お前は間違ってハチを斬っちゃったけど、私の目にはどこも刺されたようには見えなかった。ユーベルにも聞いたけど、刺されていたようには見えなかったって。にもかかわらず、お前はハチの毒に侵された。ということは、『誰かに毒を盛られた』としか考えられない」 「え……?」  毒を盛られた? 俺が? いつ? 誰に? そんな怪しいものを食べた覚えはないんだけど……。 「で、お前と別れた後こっそり彼らの自宅を調べてみたら、いろんな毒物と一緒に吹き矢らしき武器が見つかった。獣用の太い針もあれば、注射器レベルの細い針もあったよ。あれを使えば獣にも人間にも気づかれずに毒を盛り放題だ」 「そんな……」 「きっとお前も、気付かれないうちに吹矢で毒を盛られていたんだろうね。常にお前を見張っていれば、チャンスはいくらでもあったはずだ」

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