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第257話*

 清々しい解放感と、甘い絶頂感が全身を満たす。がくがくと身体が痙攣し、気持ちのいい痺れが爪先まで伝わっていった。  胸で大きく息をし、ぐったりとベッドに身を沈める。 「……ふふ、美味しい。ハチミツより甘いかもしれないな」  ハッとした時には、兄は喉を鳴らしてアクセルが出したものを飲み込んでしまった。 「ごちそうさま、アクセル」 「っ……!?」  満足げに笑う兄と目が合い、かあぁっと頬が熱くなる。絶対に美味しくないであろうものを嬉しそうに飲み込んだ挙げ句、「ハチミツより甘い」などと感想まで述べる始末。  怒りたいのと泣きたいのと恥ずかしい気持ちが全部混ざり合い、アクセルは叫ぶように言った。 「兄上の馬鹿……っ! あなたがこんな変態だとは思わなかった……!」 「そう? これくらい普通だと思うけどな」 「普通じゃない……っ! こんなことやられたことないし……!」 「そりゃそうでしょう。お前は私が初めてなんだから」 「それは……でも……」  まだ気持ちが治まらないでいると、兄に上から覆い被さられ、真顔で見つめられた。 「そんなに嫌だった? 私は嬉しかったよ?」 「っ……」 「お前がどうしても嫌だって言うならもうやらないけど。でも、個人的にはフェラができなくなってつまらないかな」 「う……」 「何なら、私のも味わってみる? そしたらおあいこになるじゃない?」 「いや、それは……」  同じことをすればチャラになると思っている兄の思考回路が、正直アクセルには理解し難い。というか、自分が兄と同じことをできるとは思えなかった。そんなテクニックもないし、そもそも兄のものは尊すぎて直接触れるのもおこがましい。  アクセルはふいと視線を逸らし、小さく言った。 「……もういい。俺には時々刺激が強いが、兄上が嬉しいなら好きにしてかまわない。……予告してくれた方が助かるけど」 「そっか。じゃあ今度フェラする時は前もって教えてあげるね」  優しく髪を撫でてくる兄。その約束がどこまで守られるかは疑問だが、アクセルが本気で嫌がれば無理強いすることはない。それだけは確かだ。

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