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第283話*

「はっ……あ……あ……」  これ以上無理をさせるのは忍びないと思い、アクセルはゆっくりと楔を引き抜いた。抜いた途端、緩んだ後孔からとろりと白濁が漏れてきて、兄の太ももをいやらしく汚していった。 「ああ、もう……力入らない……アクセル、抱っこして……」  兄が珍しく手を伸ばして甘えてきたので、ちょっと嬉しくなった。  アクセルは丁重に兄を抱き起こし、膝の裏に腕を差し込んで横に抱き上げた。 「すまない、兄上。食事前にむちゃくちゃしてしまって」 「いいんだ、私も気持ちよかったから」 「ジーク様の痕跡は消えたかな」 「消えたよ。今はお前でお腹いっぱいだ」 「それはよかった……。このまま浴室に行くが、いいか?」 「うん、もちろん……。綺麗に洗い直そう」  入浴したばかりだが、どろどろになった身体をお湯や石鹸で洗い流し、中から外まで全部綺麗にした。  兄が自分の中に指を突っ込んで出されたものを掻き出していたが、それはさすがに恥ずかしくて見ていられなかった。何より、太ももを伝って流れる白濁があまりに官能的すぎて、再び欲望が湧いてきそうだったのだ。 「はあ……疲れたねぇ」  タオルで髪の毛を豪快に拭いている兄が、唐突にそんなことを言い出す。  やっぱりむちゃくちゃしすぎたかな……と反省していると、軽く笑われた。 「あ、いろんな意味でね。今日はたくさんのことがあったからさ」 「あ、ああ……そうかもしれないな」 「ハチミツを採りに行ったのが遠い昔のことみたい。三日くらいしか経ってないのに」 「確かにな……。一年以上も昔のことのように思えるよ」  本当にたくさんのことがあった。  ハチミツを採りに行って、毒に侵されて兄を襲い、殺害されて棺に入り、兄と喧嘩別れしてピピに慰められ、木彫りを覚えて、ロシェの策略に嵌り、巨大狼と対決し、兄に助けられて仲直りして……。  これらの出来事が全て、ほんの三日間で起きたことだなんてにわかには信じられない。それほど濃厚な三日間だった。

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