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第284話

 兄が後ろからこちらを抱き締めてくる。 「やっぱり、お前と一緒にいるとボーッとしている暇がないね。よくも悪くも刺激的で、毎日飽きない。これからもたくさん思い出ができたらいいなぁ」 「そうだな。でも、喧嘩別れはもう御免だぞ」 「それもまた、生活のいいスパイスになるよ」 「……勘弁してくれ……」  拗ねるように口を尖らせたら、からかうように兄に口付けられた。  その後、二人で作りかけの食事を平らげ、就寝用のシャツに着替えて寝る準備をした。アクセルは当たり前のように兄にベッドを譲ろうとしたのだが、 「何で今更遠慮してるの? お前のベッドなんだから、お前も一緒に寝るんだよ」 「……何度も言うが兄上、そのベッドは一人用だから大人二人で寝たら狭いんだ」 「じゃあ時間がある時に、お前がDIYしてもっと大きなベッドに作り替えればいいさ」 「俺が作るのか?」 「うん。あんな可愛いうさぎの木彫りが作れるんだから、それくらい簡単でしょ?」 「そういう問題ではないと思うのだが……」 「まあまあ。とにかく、今日は一緒に寝よう? 大丈夫、添い寝するだけだからさ」  仕方がないので、アクセルは兄と一緒にベッドに入った。兄と寝るのは初めてではないが、こう密着していると妙にドキドキする。  気持ちをごまかすように、全く関係ない話題を振ってみた。 「そう言えば、明日は確かランキング発表日だったな」 「あれ? そうだっけ?」 「そうだよ……。兄上は、あれ以来死合いサボったりしてないか?」 「してないよ。決められた死合いにはちゃんと出てる」 「ならいいが……。元のランクに戻ってるかな」 「戻ってるんじゃない? それよか、私はお前のランクの方が気になるな。どこまで上がってるだろうね?」 「わからないが……五〇位以上になると、そう簡単に上がらなくなるからな……」  下位ランカーのうちはちょっと努力すればすぐにランクが上がったが、上位ともなると競争率が激しいため、なかなかランクが上がらなくなる。上がっていても三〇位代前半じゃないかな、と思った。目標の七位以内に入るには、まだまだ時間がかかりそうだ。

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