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第285話

「それより、兄上とはいつまた死合えるようになるんだろう」  兄のつるんとした頬に触れたら、手を重ねて苦笑された。 「そうだねぇ……。私もお前とまた死合いたいけど、こればかりは完全ランダムだから、どうにも」 「希望とか出せないんだろうか」 「出せても通らないと思うなぁ……。死合いは一応、ヴァルキリーたちが不公平にならないよう綿密にスケジュールを組んでいるらしいから」 「? ランダムじゃないのか?」 「正確には『法則がわからない』と言った方が正しいかなぁ」  と、兄がアクセルの唇をなぞってくる。 「お前がこっちに来る前、ジークやユーベルと一緒に『何か法則があるんじゃないか』って死合いの組み合わせを調べてみたことがあるんだ。でも、何となくの傾向は読めてもハッキリした法則はわからなかった。死合いの組み合わせを正確に予想するのは不可能だった」 「そうなのか……。ちなみに、何となくの傾向とは?」 「んー……何というかな、『自分とあまりにもランクが離れている人とぶつかった時は、しばらくその周辺ランクとの死合いがなくなる』とか。今お前は三十……何位だっけ?」 「三十五位だよ、兄上」 「そうそう、三十五位。……で、つい最近当たったのは下位ランカーで……ええと、真ん中くらいのランクだったっけ?」 「……非常にざっくりしているが、まあその辺りだな」  相変わらず、兄は細かいランクを全く覚えていない。覚えようと思えば覚えられるはずなのに、覚える気がないのだ。  他の戦士のランクはともかく、弟のランクくらい正確に覚えていて欲しいのだが。 「それでね……結論から言うと、三十五位のお前が真ん中くらいの戦士を倒したら、しばらく真ん中くらいの戦士とは死合いがなくなるんだ。逆もまた然りで、真ん中くらいの戦士が上位ランカーと戦ったら、しばらく上位ランカーとの死合いは行われなくなる。多分、ポイントの荒稼ぎを防ぐためだと思うけど……」

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