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第297話(フレイン視点)

「ふーん、そうなんだ? 洞窟、楽しいからすぐ終わっちゃうよねー。今入ったところなら、夜には出てきちゃうんじゃない?」 「ははは……そんなに早く出て来られるのはミューだけじゃないかな……」  ミューの言うことは参考にならないので、軽く聞き流す。  するとジークがやや呆れたように頬杖をついた。 「しかし、お前さんも相当な過保護だねぇ。出口まで迎えに行くとか……弟くんだって子供じゃないだろうに」 「身体はね。でも多分、あの子の中身は少年のままだ」 「そうなのか?」 「うん、そんな気がする」  メンタルが弱いとは言わない。普段はしっかり大人として振る舞っているし、たくましい一面だって持っている。  だが時折、思春期の少年みたいな危ういところが垣間見えるのだ。変なところで意地を張って助けを呼ばなかったり、小さなことでいつまでもウジウジ悩んでいたりする。  それに、未だに「兄上のようになりたい」と言っていることも気になった。単に憧れているだけだったらいいのだが、アクセルの場合は本気で「兄上のように~」と思っている節がある。  いい大人なら自分の器を理解し、「自分は自分、他人は他人」と割り切れるはずなのに、アクセルは二十七歳になってもそれができていないようなのだ。 「あの子……私が死んでから中身が成長してないんじゃないかなあ……。身体は二十七歳だけど、心は十六歳のままでさ。本当に機械的に鍛錬していただけで、それ以外はなーんにもして来なかったんじゃないかって思うんだよね」 「ふーん? それが事実だとして、お前さんに何か不都合でもあるのか?」 「ないけど。ただ、その辺を克服しなきゃ狂戦士モードをコントロールすることはできないよね」 「まあ、そうでしょうね。『狂戦士』は己との戦いですから」  と、ユーベルが紅茶を淹れてくれる。 「自分が何者なのか、自分の本質はどんなものなのか、綺麗なところも醜い部分もまるごと認めて受け入れることができなければ、狂戦士モードをコントロールすることはできません」

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