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第298話(フレイン視点)
「だよねぇ……。あの子、ちょっと潔癖なところがあるからさ。『ダメなものはもうしょうがない』って開き直るくらいにならないと、この先しんどいよね」
「お前さんは逆に開き直りすぎだけどな」
「ジークだって割り切りっぷり半端ないじゃないか」
「お前さんと付き合ってるうちに身に付いたスキルさ。それくらいじゃないと、お前さんの友人はやってられん」
と、ジークが焼き菓子に手を伸ばした。表情は一切変わらなかったが、実際はどう思っているかわからない。
――ジークには、本当にいろいろ世話になったからなぁ……。
先日慰められたことはもとより、弟がいなかった頃もたくさん慰めてもらった。一時期、恋人みたいに付き合っていたこともある。
アクセルがこちらに来てからは――フレインが弟以外は愛せない性格だったため――ただの友人に戻ってくれたけど、内心は複雑だったかもしれない。「俺を利用するだけ利用しやがって」とキレられてもおかしくなかった。
我ながら性格が悪いと思う。弟以外はどうでもいい……とまでは言わないが、何よりも弟が最優先というのは変わりない。そのため、周りの友人には恩を仇で返すような真似をしてしまうことも少なくなかった。
申し訳ないとは思うが、だからと言って今更優先順位を変えることはできず、「そういう性格なんだからしょうがないでしょ」と開き直ることしかできない。それが許せないなら「さよなら」していいし、それでもよければ友人として付き合う。
フレインが愛情を注げる相手は、最初からアクセルのみなのだ……。
「それでー、アクセルって今日で何位になったんだっけー?」
と、ミューがペロペロキャンディーを舐めながら聞いてくるので、フレインは曖昧に微笑んだ。二〇位代後半だった覚えがあるが、正確な数字はもう忘れてしまった。
するとジークが、代わりに説明してくれた。
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