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第320話*(フレイン視点)

「うーん……」  ここまでやればさすがに起きるだろう……と思っていたのに、何故かアクセルは目を開けない。眉を寄せて微かな呻き声を上げるだけで、起きるまでには至らなかった。 「……お前、こんなことされてるのに起きないの? さすがにちょっとマズくない?」  一度寝たら朝まで熟睡するタイプなのは知っていたが、身体の自由を奪われ、大事なところをも縛られているのに何で起きないんだろう。いくら何でも無防備すぎないか。戦士としての危機意識はどこへいったのか。  ――どこかの神が私に変身して、寝込みを襲ってきたらどうするの……。  考えるだけでぞっとしてきた。  他の人にやられていたらもっと早い段階で起きたのかもしれないが、人質先の神々は変身術も使える。いくら行き先がバルドルの元だからって、客として別の神が訪ねてくるとも限らない。そして中には邪悪な神もいるのだ。  無抵抗のまま挿入され、レイプされたと気付いた時にはもう遅い。  ――ほんっとに心配なんだけど……。  こんな調子で大丈夫だろうか。一年間、何事もなく人質先で過ごせるのだろうか。自分で言うのも何だが、もうちょっとしっかりして欲しい。これでは安心して送り出せない。  怒り半分、呆れ半分で、フレインはぐいっと弟の両脚を持ち上げた。脚の付け根で身体を折り畳み、膝裏に手を入れて尻だけ高く抱え上げる。普段見えない部分が全て露わになり、尻の奥に隠れていた秘蕾も丸見えになった。  起きている時なら恥ずかしくて泣いてしまいそうな格好なのに、それでもアクセルは起きない。それどころか、物欲しそうに窄まりをひくひくさせている。  指も何も挿れていないのに、身体が大好きな兄を求めて勝手に反応しているのだ。乳首しか触っていないのに欲望が一向に萎えず、それどころか赤黒く膨れ上がって苦しそうにしているのがその証拠。 「はあ……」  フレインは深々と溜息をつき、己の先端を秘蕾に当てて言った。 「もういい加減起きなさい、アクセル」 「っ……んんッ!?」  根本まで挿入した途端、弟がバチッと目を開けた。

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