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第321話*

 いきなり下腹部に強い圧力を感じ、アクセルはまどろみから覚めた。平和で幸せな夢を見ていたのに、一体何が起こったのだろう。 「はあ、やっと起きたね……」  目の前に兄の顔が見えた。怒っているような呆れているような、複雑な顔をしていた。  ぎょっとして身体を起こそうとしたのだが、兄がのしかかってきて動けない。後ろの孔に兄の楔が刺さり、自分の股間は紐で根本をきつく縛られていた。道理で苦しいはずだ。  せめて腕で押し返そうとしたけれど、着ていたシャツが両手首に絡まって、身動きがとれない。それ以外はほぼ全裸だった。  今更ながら、自分がとんでもない格好にされていることに気付き、アクセルはすっかり混乱してしまった。 「あ、兄上、何を……んぐッ!」  ずん、と容赦なく最奥を貫かれ、生理的な涙が飛び散った。股間の疼痛もひどくなり、官能的な苦しみもどんどん増していく。  さっぱり状況が飲み込めないまま一方的に犯されて、アクセルは悲鳴を上げた。 「あああっ! 兄上、待っ……何なんだ、いきなり……んっ!」 「意味わからないでしょ。寝込みを襲われたんだから当然だよね」 「ひぐッ!」  一番奥を突き上げられ、腰がびくんと跳ね上がる。キリキリと股間に紐が食い込み、出せない熱が下肢に集中し、腹部がどんどん重くなってきた。兄の欲望もぐぅっと奥まで突っ込まれ、より一層体内の圧が強くなる。  さすがに苦しくてたまらず、アクセルは泣きながら懇願した。 「や、やめ……離して、くれ……っ! 重っ……くるし、い……っ!」 「だろうね。お前はもともと感じやすい上に、反応した欲望を縛られてるわけだし」 「わ、かってるのに、なぜっ……うぐ……ぅっ!」  弟を黙らせるように、一番弱い奥の曲がり角を抉ってくる。そのまま何度も腰を叩きつけられ、苦痛と快感の狭間で悶絶した。  ただでさえ起き抜けで敏感になっているのに、いきなりこんな激しく攻められたら、身体が耐えられなくなってしまう。  というか、何でいきなり襲ってきたんだ? 兄上は一体何を考えているんだ? 俺、何か悪いことしたか……?  思い当たるところが何もなく、アクセルは涙目で兄を見上げた。

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