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第332話
「でも心配しないでくれ。話を聞く限りではバルドル様はいい神らしいし……真面目におとなしくしていれば、変なことは起きないだろ。俺自身も注意するし、どうにかなるさ」
「うん……そう信じてるよ」
「俺からも手紙書くから。兄上もめんどくさがらずに一週間に一通くらいは手紙送ってくれよな」
「うん、もちろん。熱烈なラブレター書いて送ってあげるね」
兄もにこりと微笑んでくる。一年間は直接会えなくても、頻繁に手紙をやりとりすれば……寂しさも紛らわせるはず。
それに、バルドルの元にも親しくなれるような誰かはいるだろう。作ろうと思えば友人も作れる気がする。
だから、きっと大丈夫だ。
「あ、そう言えば私があげたお守り持ってる?」
「ん? ああ、これか」
と、アクセルは服の内側に下げているペンダントを外に出した。
青い宝石がついているシンプルな装飾品。以前、兄が「お前、危なっかしいから」とお守り代わりに与えてくれたのだ。それ以来、ほとんど肌身離さず身につけている。
「ふふ、ちゃんと持ってるならよかった。きっと私の代わりにお前を守ってくれる。失くさないように気を付けるんだよ?」
「もちろん。兄上からもらった大事なものだ。手放したりしないさ」
そう言ったら、兄はまた嬉しそうに笑ってくれた。
二人でミルク粥を平らげ、食器を片付けてキッチンで洗い物をする。
皿や鍋を綺麗に洗いながら、アクセルは思った。
――俺は兄上のお守り持ってるけど、俺は兄上に何もあげてないな……。
せっかくだし、何かプレゼントしようか。あまり時間はないけど、いつぞやリクエストされた木彫りを作ってみるのも悪くない。離れていても寂しくないように、自分の木彫りを作ってみよう。……ちょっと恥ずかしいけど。
――やることは盛りだくさんだな。
洗い物が終わったら、死合いがあるまで狂戦士モードの練習をしなければ。ちゃんとコントロールできるようになっているか、試しておきたい。
できれば兄にもつき合ってもらいたいが……万が一失敗したら大変だし、どうしたものか……。
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